ダーナの成長に効果

 ダーナの実証実験地を視察する、静岡大学農学部応用生物化学科の森田教授ほか関係者(龍郷町秋名集落内)

静岡大学研究者ら スラグ原料の開発肥料視察

 静岡大学農学部応用生物化学科の森田明雄教授は現在、製鉄所の融解炉で高温処理されたスラグ(融解砂)を原料としたイネ科植物の肥料開発に取り組んでいる。23日は同大学関係者らが奄美大島に来島し、龍郷町秋名集落の実証実験地で行われているマコモ(台湾ダーナ)の苗の成長を視察。森田教授は「従来に比べ苗の成長は約1・5倍高いことが確認できた。引き続き研究を進め、肥料の有用性をまとめたい」と期待感を示した。

 同大学は、新日鉄住金エンジニアリング(北九州市)・環境ソリューション事業部からスラグの提供を受け、5年前からスラグに含まれるケイ酸を抽出した肥料の開発に着手。効果の検証を進めている。

 秋名集落での試験は2014年12月からスタート。同集落と幾里集落の有志で組織する「秋名・幾里農業創生塾」(龍宮省三塾長)会員・窪田圭喜さん(75)所有の水田15㌃を二分し、それぞれにマコモを500株ずつ栽培。大学側は肥料散布の有無で成長過程を記録した。

 大学関係者や窪田さんによると、15年秋の初収穫では、「開発中の肥料を使用した方が成長度合いは、無散布に比べ5割ほど高い。実も太かった」と口をそろえる。森田教授の研究チームは2年目の今年、苗の段階での現地視察を決定。企業関係者との来島を実現した。

 春先に植えた苗は現在、30㌢ほどに成長。肥料を使用した田んぼの苗は、肥料なしの田んぼよりも成長が早く、株密度が高い様子に関係者は満足気な表情を見せた。大学関係者によると、今年と来年の成長データを経て肥料の有効性をまとめ、本格的な製品開発に入るという。

 森田教授は「将来的には奄美の基幹産業であるサトウキビでの効果を研究し、収穫量の増加、高品質による単収向上につなげたい」と語った。