5市町村が共同して策定作業にあたった奄美大島総合戦略が25日付で策定された
奄美大島5市町村の首長で構成される「奄美大島総合戦略推進本部」(本部長・朝山毅奄美市長)の第3回会議が25日、奄美市名瀬のAiAiひろばであった。5市町村が共同で策定作業を行った奄美大島総合戦略(案)を可決。地方創生の推進に向けて同戦略に基づき5市町村が連携・一体となり、奄美大島の振興を図ることを申し合わせた。
奄美大島総合戦略は、地方創生関連法に基づき、今年度自治体ごとで策定した地方版総合戦略と併せて、広域行政によるスケールメリット(強みを伸ばし、弱みを補完)を地方創生に生かす視点から、5市町村が共同策定したもの。計画期間は今年度から2019年度までの5年間。
「奄美大島人口ビジョン」(2060年の島の将来目標人口を現行の約8割に当たる5万2600人)を踏まえ、2市町村以上で連携して実施する施策をとりまとめた。
具体的な戦略として「世界自然遺産登録を見据えた観光・交流」「産業振興」「移住・定住促進」の3プロジェクトを掲げ、それぞれの施策を実施していく。また全てのプロジェクトに数値目標、事業には重要業績評価指標(KPI)を設け、施策の進ちょく管理も行う。
例えば「観光・交流」では19年度までに奄美大島入込客数45万人(14年度39万人)と設定。このうち情報受発信力の強化プランは、奄美大島DMO事業などの具体的事業を推進することで、奄美大島観光協会HP閲覧数を、19年度には300万PV(14年度は153万PV)とする目標値を設定している。
また奄美大島での雇用創出の方向性として、「地域産業構造の見え方、捉え方」(岡山大学大学院中村教授提唱)に準拠し、基盤産業(農林漁業、製造業、宿泊業など外貨獲得産業)の従業者数を09年の3358人から4050人まで引き上げるとした。地域の人口と相関関係があり、これが人口減解消につながるとの考え方に基づいている。
会議では各首長から「これまでもすばらしいプランは立てるがdo(実行)の部分などがやや欠けていた。施策の進ちょく管理も今後、5市町村でしっかりやっていくべき」、「今回の取り組みは広域行政の推進という点でも新たな一歩だった。今回を機に今後も5市町村で、できるものについては連携して取り組んでいきたい」など意見が出された。
また会議では地方創生加速化交付金事業として5市町村で提案した10事業のうち6事業(上乗せ交付金含め約3億円)が採択されたことも報告された。
朝山本部長は「みなさんの知恵の結集が一つの事業採択につながった。また立派な総合戦略も策定できた。自分たちでつくったプラン(計画)を自らが実行・チェックし、奄美大島全体の振興につながるよう5市町村で取り組んでいこう」と話した。