徳之島町エコツー講習会

世界自然遺産登録に向けて講義した田中氏(左)とハバス氏=27日、徳之島町

適正利用「ルール導入不可欠」
ガイド認定は行政関与で

 【徳之島】徳之島町エコツーリズム講習会(町主催)が27日、同町前川生活館であり、世界自然遺産候補地科学委員会・奄美ワーキンググループ委員の田中俊徳東京大学特任助教ら2氏が講演。世界自然遺産登録への課題にノネコや外来植物などからの保護担保措置を挙げたほか、持続的エコツーリズムの確立には利用調整や「環境税、ガイド認定制など地域に合った仕組みの検討」もアドバイスした。

 地方創生先行型事業を活用した世界自然遺産登録に向けた取り組みの一環。2016年度環境保全促進助成事業(われんきゃガイド養成講座)の講師・アドバイザーに依頼している田中氏と、環境評価・生態系サービス研究の専門家ハバス・ヤルッコ氏(フィンランド出身)を招へい。町内外からの約30人が聴講した。

 田中氏は、奄美・琉球の世界自然遺産登録への道程や価値など前置き。世界自然遺産4カ条中では特に?動植物群集の進化、発展の過程を代表する顕著な見本②学術上または保全上、顕著な普遍的価値を有する絶滅のおそれのある種の生息地など、最も重要な生息地を包含していることなどを解説。

 その上で、「どれだけ素晴らしい価値があっても、将来にわたって守られないと意味がない。奄美大島・徳之島は顕著な価値がある」。残されたネック、課題に「ノネコなど外来種問題。(希少動植物の)保護担保措置がある」と提起。小笠原南島の赤土流出など過剰利用による悪影響例も挙げた。

 エコツーリズムの現状と課題では「各地で盛んになる一方、過剰利用やガイドの質の低下、地域住民の不公平感(所得の不均衡、新住民流入による文化摩擦)といった問題がある」。環境保全や地域振興、環境教育のためにも「適正利用の仕組みや認定制などのルール導入が不可欠」と強調。利用調整の具体例も示し、「子や孫を連れてまた戻って来たくなる環境づくりが大事」。

 ガイドの認定・登録制は屋久島や小笠原も例に「行政が入らないと民間だけでは難しい」。商品の魅力的な見せ方など発信力を高め、「奄美は島ぐるみでやることが大事」ともアドバイスした。

 ハバス氏は「小笠原の観光と環境保全」について研究成果を紹介。徳之島にはキャッチフレーズと、ネットや新聞などメディアアピール強化の必要性も提言した。