「認知症カフェ」正式にスタート

地域理解に向けた認知症カフェを開催する奄美病院

16年度から支援体制づくり 奄美病院
医療機関では初 6月に第1回開催

 奄美の医療圏域で唯一の「認知症疾患医療センター」に指定される、奄美市名瀬浜里町の奄美病院(杉本東一院長)は、2016年度から認知症医療に向けた対応力を強化する。その一環として、身近な相談窓口を担う「認知症カフェ」を正式にスタートさせ、地域に寄り添った支援体制づくりに取り組む。カフェ第1回開催は6月4日午後1時から。

 認知症のお年寄りやその家族、地域住民が気軽に集い、交流や情報交換場の提供となる「カフェ」開催は全国で広がりを見せる。現在、奄美市内では3事業所でカフェが開かれているが、医療機関での実施は奄美群島では初めてという。

 医療と介護が連携した専門的治療、地域住民への啓発活動を推進する同センター。認知症の地域理解を促すため、▽早期受診の促進▽他職種との連携▽認知症者の支援―を挙げ、15年度からカフェ開催プロジェクトを展開した。

 昨夏、病院内に準備委員会を立ち上げ、今年に入り同病院内での試験的オープンとして「やすらぎカフェ」を3回開催。平均約20人の参加があり、医師や精神保健福祉士などスタッフ12~14人が対応したほか、奄美群島内のニーズ把握のため、喜界島、与論島での出張開催(おでかけカフェ)では、巡回相談や講演などを行った。

 カフェ運営の中心的立場にある、精神保健福祉士の西牟田智子さんは、「本人やその家族だけでなく、第三者の住民も集まりやすい環境づくりが大切」と述べ、来院の敷居を下げながら、地域交流所としての認知度を向上させたい考え。その上で、「参加者が気軽に語り合うことで、本人や家族の気持ちの整理につながり、共感や安心感が生まれる」と語った。

 16年度計画では、同病院内研修センターで偶数月の第一土曜日開催を予定(2時間程度)。費用は1人100円。

 問い合わせは電話0997―52―0034(奄美病院 認知症疾患医療センター)まで。