田んぼ再生プロジェクト始動

瀬戸内町久慈大浜で田んぼ再生プロジェクトが始動した

荒れ地開墾 地域活性へ集落復活も

 昭和40年代(1965~75年)頃まで住民が暮らしていた瀬戸内町久慈大浜地区。現在多くが荒れ地になっている同地区で、田んぼを再生するプロジェクトが始動した。取り組みを企画し、中心的に活動を行うのは、昨年6月から同町地域おこし協力隊として働く泰山祐一さん(30)。10日は泰山さんの呼びかけで、昔ながらの田植えを体験。泰山さんは「最終的には新しく住んでくれる人が出てくることを目指したい」と意気込んでいる。

 大浜地区は久慈集落中心地から約4㌔離れた地点にあり、大島海峡と加計呂麻島を眺望でき、水平線に夕日が沈む景勝地。同集落の武田政文区長(72)によると、同地区には約10戸が身を寄せていたが、電気が通っていないなど生活が不便なこともあり、住民は昭和40年代の終わりごろまでには古仁屋や久慈などに移住したという。

 「田んぼは人が集まり、周囲には活気が出てくる」と泰山さん。泰山さんは協力者の叶辰郎さんらとともに3月、重機を使わずに開墾作業を実施。約1週間かけ、1㌃超の田んぼを完成させた。

 10日には町内外から10人余りが集い、一列になって田植え。前後左右の間隔に注意しながら、数本ずつ苗を植えた。順調に生育すれば、夏頃に約50㌔の米を収穫でき、稲は豊年祭などで活用する予定という。

 田んぼ再生プロジェクトによる廃村復活活動について武田区長は、「若い人が一生懸命作業してくれてうれしく思う。少子高齢化で人口が減少する中、結いの心で作業を行うことが起爆剤となり、I・Uターン者が増えれば、集落おこしにつながる」と期待を寄せた。

 同プロジェクトは同地区のほか、同町伊須集落でも計画中。泰山さんは「町内各地で田んぼを再生して人が集い、居住することで、地域活性化につなげていければ」としている。