東北大学「未来の暮らし方を育む泉の創造」設置

披露された分室の看板(左から石田秀輝氏、古川柳蔵氏、平安正盛町長、木積凛穂氏)=知名町役場=

新しいライフスタイル具現化へ
知名町

 【沖永良部】東北大学「未来の暮らし方を育む泉の創造」沖永良部研究室が15日、知名町に設置され、看板が披露された。来島した同分室の研究代表者、古川柳蔵氏(東北大学大学院准教授)は「都会では変えられないことが沖永良部では可能かもしれない。昔の知恵を生かした新しいライフスタイルを考え、島内外に発信していきたい」と語った。

 研究室の設置は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)・社会技術研究開発センター(RISTEX)「持続可能な多世代共創社会のデザイン」研究開発領域に採択され実現。同大学大学院環境科学研究科イノベーション戦略学分野・古川研究室の分室として、未来のライフスタイルを住民と考え具現化することで、地域が抱える課題の解決を図る。職員や学生は常駐せず、島内で持続可能な社会について考える「酔庵塾」(毎月1回開催)と連携し研究を進めていく。

 古川氏によると、沖永良部のほか兵庫県豊岡市、岩手県北上市、三重県志摩市に分室を置き、協力体制を確立。2030年に向け暮らし方の変化を目指す。研究開発期間は、18年9月まで。

 同日、古川氏と東北大学名誉教授で同町在住の石田秀輝氏、看板の題字を担当した書家の木積凛穂氏の3人が平安正盛町長を表敬訪問した。

 看板には、特産品の芭蕉布と養蚕業が盛んだった頃に作られた古布(1960年代以前のもの)が使われ、額縁は島の自然にあうように青色が選ばれた。

 来島3回目の木積氏は「サトウキビ畑を自転車で走った時の風が忘れられない。(看板の文字は)風の中を軽やかに走っているのをイメージした」と話した。

 平安町長は「地域の課題を解決するきっかけを作ってくれた。今後、行政と住民の意識改革に努めたい」と語った。

 9月3、4日の両日、「未来の暮らし方を育む泉の創造」プロジェクトと共同で第7回沖永良部シンポジウム(会場・知名町フローラルホテル)の開催が予定されている。