植防検査で島外出荷可能に

誘殺ゼロで農水省 大和村皮切りに説明会

 

 農林水産省は20日、緊急防除区域の奄美大島(加計呂麻・請・与路島含む)において、ミカンコミバエの誘殺ゼロが続いた場合、27日以降から島内全域で移動検査を行うと発表した。奄美大島では20日現在、17週連続で誘殺ゼロ。このまま出荷までに誘殺がなければ、これから収穫時期を迎えるスモモなどを対象に、移動制限区域外の笠利地域と同じく、植物防疫所の検査を受けることで島外出荷が可能になる見込み。21日から大和村を皮切りに島内全域で住民説明会をスタートする。

 移動制限区域となっているのは、ポンカンとタンカンの収穫時期にミカンコミバエが見つかった地域で、笠利地域を除いた奄美大島(加計呂麻・請・与路島含む)全域。しかし、スモモの移動制限基準日(2月22日)以降も、誘殺が確認されていないことなどから、同省ではこれから収穫時期を迎えるパッションフルーツなど対象果実などに対して、これまで移動制限区域外となっていた笠利地域と同じく、奄美大島全域で出荷に向けた移動検査を実施するとした。

 移動検査は植物防疫官が▽移動禁止区域外で生産されたものであること▽移動中に(移動制限区域を通る場合)ミカンコミバエ種群の付着などがないよう、出荷箱などの汚染防止措置がされていること―を確認するもの。島内全域で移動が可能となっている場合において汚染防止措置は必要なく、植物防疫官の検査が行われた農場のみ、島外出荷が可能となる。

 一方で、緊急防除が続く限りは誘殺が確認され次第、その地点から半径5㌔以内は島外への移動は禁止。緊急防除区域から外れるためには、三世代相当の期間、ミカンコミバエが確認されないことが必要となる。そのため、同省では最後に誘殺が確認されたのは12月中旬~下旬だったことから、このまま誘殺が確認されなければ7月中旬ごろに解除される見込みとしている。

 同省消費・安全局 植物防疫課の島田和彦課長は「スモモの出荷時期は6月中旬から下旬ごろに始まる。現状は、スモモの島外出荷に向けて進んでいるという状況」と説明。門司植物防疫所名瀬支所では今後、出荷に向けて大型連休明けに移動検査を行う計画という。

 島外出荷への可能性が見えたことについて、大和村果樹振興会の勝三千也会長は「私たちもスモモを出荷するつもりで生産している。長く誘殺ゼロが続いていたので、今月誘殺がなければ、(出荷が)いけるかもとは思っていた。これから暖かくなる季節だが、防除も徹底しているので大丈夫だとは思っている」。昨年から認証を受けている「かごしまの農林水産物認証制度(K―GAP)」の審査も28日に控えており、「無事に県の認定証をもらって、島外に出荷できたら」と語った。

 住民説明会=表参照=の問い合わせは門司植防名瀬支所℡0997‐52‐0459まで。