自身も被災しながらも、古里で熊本地震への義援金を呼びかけた同県在住の学生ら
「取り残された私たちの友人やその家族が助けを必要としています」「しまんちゅの力を貸してください」――。熊本地震の被災者を支援しようと、奄美大島の出身で古里に避難した熊本県内の大学や専門学校に通う学生らが20日、龍郷町のビッグⅡで街頭募金活動を行った。学生らは手づくりの義援金箱などを携え、買い物客らへ募金を呼びかけ、39万1356円が集まった。
募金活動の発案者は九州看護福祉大学=玉名市=3年の竹山まりなさん(20)。14日の「前震」、16日の「本震」を自宅アパートで迎え、津波警報が出た本震時に標高が高い場所にある大学に車で避難する間も、「車内が地震で揺れてこわかった」(竹山さん)。余震への不安と避難所が被災者であふれていたため、車中で夜を明かしたという。
両親からも帰省を打診されたことから、被災地に残る友人のことを思いつつも、17日に空路で帰郷。鹿児島県や沖縄県出身の友人らが募金活動を行う中で、「被災地では今も多くの人が避難生活をしている。一時的に避難した自分たちも何かできないか」と企画。熊本県在住で、一時休校で奄美大島に帰省している学生らに声をかけ実施した。
20日は学生10数人が同店舗前に立ち、午前11時から夕方まで街頭で呼びかけ。「募金をお願いします」などと訴えると、買い物客らが次々と募金した。安否を気づかう知り合いと学生が再会する場面もあり、無事を喜び、今後の生活にエールを送る姿もみられた。
参加した学生からは「揺れがないのは平和」「熊本では常に揺れているような感覚。こわかった」との声が聞かれるなど、余震の不安がない奄美大島での生活に安どの表情を浮かべる。だが、早ければ週明けの25日にも授業が再開される予定で、一時帰省した学生らも近日中には余震が続く同県に戻らなければいけない。水浸しになった自宅、実家が全壊した友人、これからの学校生活…。日常生活を取り戻すために解決する課題は多い。
熊本市内の専門学校に通う新納ありささん(20)は、「巨大地震はどこでも起こり得る。普段から備えておく重要性に気づいた」としながらも、「島民の温かい支援を被災地に届け、震災前の生活に戻るよう、みんなで頑張って助け合っていきたい」と意欲を示した。
募金活動は23日午前11時にも同店舗前で行う。集めた義援金は同市に寄贈する予定。