アマミノクロウサギ注意して

交通事故に遭ったアマミノクロウサギ=奄美野生生物保護センター提供=

分布域拡大 国道でも交通事故
「事故見つけたら連絡を」

 奄美市住用町の国道と、龍郷町嘉渡の県道で17日と18日、アマミノクロウサギの交通事故が見つかった。主要道路での確認は珍しいものの、分布域の拡大や大型連休などで人や車の通行が増えると事故も増加する恐れがある。環境省奄美野生生物保護センターでは「思わぬところから、突然出てくる可能性もある。もし事故を見つけたら連絡してほしい」などと呼びかけている。

 住用町では17日の午前10時15分ごろ、三太郎トンネルを住用役場側に抜けた先で、子育て中のメスが轢かれているのを発見。龍郷町では18日、嘉渡の県道上でオスの個体が轢かれているのが見つかった。いずれも事故発生件数が少ない場所での確認ということもあり、同センターの岩本千鶴自然保護官とアクティブレンジャーの木元侑菜さんは「クロウサギの分布域が広がっていることや、メスの個体は子育て中だったこともあるかもしれない」としている。

 同センターでアマミノクロウサギがより活発になる9~11月にかけて、交通事故防止キャンペーンを実施している。年によって変わるが、ここ数年は4月前後も交通事故発生が多くなっているという。特に多いのが人や車の出入りが多くなる大型連休など。発生した2件はいずれも林道ではなく車の通りが多い主要道路ということもあり、木元さんらは「クロウサギの分布域は広がっているので、今まであまり出なかった場所にも出てくることがあるかもしれない。国道などでも気を付けてほしいが、主要道路なので難しいと思う。もし轢いてしまった場合や、事故に遭った個体を見つけた時はすぐにセンターに連絡してほしい」と説明。対応が早ければ、クロウサギの命を救えたり、死亡した個体もサンプル採取などにより、新たな生態解明につながるという。

 同センターによると、今年1月から4月(21日現在)のアマミノクロウサギの死体発見数は12件で、うち交通事故と断定できるものは2件。昨年は4月だけで13件の死体を発見しており、うち交通事故と断定できたものは2件だった。

 また、今月20日にも奄美市住用町でクロウサギの死亡個体が道路上で見つかっているが、骨と毛皮しか残っていなかったことから、交通事故と断定するのは難しく、木元さんは「原因不明の個体も交通事故に遭った可能性は十分にある。交通事故被害はウサギだけでなく、ケナガネズミなどほかの生き物も見られる。観光シーズンなど交通量が増える時期は一層気を付けてほしい。でも、こうしたシーズンは被害に遭った個体を発見できる人の目が増えるということでもある。見つけたらセンターに連絡するというのが浸透してほしい」と語った。

 奄美野生生物保護センターの連絡先は℡0997‐55‐8620まで。