「いじゅん広場」田植え

ユイの心・絆(下)、差し替え分 (1)

伝統の「田植え歌」にのせて田植え作業を体験(上)したちびっ子ら。世代を超え伝統踊りの輪も広がった(下)=23日、天城町瀬滝

ユイの心・絆にふれる
天城町瀬滝、120人交流

 【徳之島】住民の願いで農地造成や災害渦からの埋没危機を免れ、1996年に再々整備された天城町瀬滝集落の湧水「こうしりいじゅん」公園のミニ水田で23日、住民を挙げた田植え作業があった。瀬滝民謡保存会員らの「田植え歌」実演も交え、稲作文化に根差した相互扶助「ユイの心と絆」にもふれ合った。

 「こうしりいじゅん」は「川尻の泉(湧水)」の意。瀬滝集落から山手方向に数百㍍。水道が未普及だった55年代ごろまで、住民たちの飲料水確保や洗濯場、ふれあいの場となってきた。90年に瀬滝子ども会文化財少年団の「水と生活」に関する調査で復元したが、95年の水害で再び埋没。一帯が県営畑総事業計画地区になったことで県側が配慮。96年に源泉を探して導水移転し、住民たちの憩いの場「いじゅん広場」として園地に整備した。

 うち体験用水田は約1・6㌃。田植え作業は瀬滝集落(院田吉雄区長)が子ども会と地域住民の交流行事として昨年、15年ぶりに復活した。今年も兼久小と天城中の児童生徒やその保護者、地域住民など関係者約120人が参加した。

 瀬滝民謡保存会(重田浩次会長)一行15人による男女掛け合いの「田植え歌」にのせて、ちびっ子らが慣れない手つきで田植え作業を体験。作業後は伝統芸能「七月」と「夏目」の立ち踊りでも異世代交流の輪を広げた。

 稲は8月下旬に収穫し、9月の敬老もちつき大会でも異年齢交流する。院田区長(65)は「復活したことで人が集まり、ユイの心と絆が生まれ、集落の活性化につながる」。民謡保存会の重田会長(69)も「屋内での保存活動と違って臨場感があり大いに盛り上がった。世代を超えてつながって欲しい」。家族で参加した重田類君(兼久小6年)は「ちょっと疲れたが楽しかった。もちつきも楽しみ。いろんな人たちともふれ合えてよかった」と話していた。