吉見さん(奄美市)全国高段者大会出場

自身が「生涯最後」と位置づけた試合に臨んだ奄美市の吉見憲治さん(84)

「生涯最後」の試合、悔いなし
84歳柔道家、衰えぬ闘争心

鹿児島県柔道会大島支部名誉会長で、奄美市名瀬で接骨院を営む、吉見憲治さん(84)がこのほど、「生涯最後」と位置づけた柔道の試合に臨んだ。先月28日に東京であった講道館主催の「全国柔道高段者大会」に最高齢で出場。試合は約10歳下の相手に惜しくも敗れたが、80歳を超えても衰えない闘争心を示した吉見さん。「奄美から東京まで行って大変だったが、悔いはない。やって良かった」と晴れ晴れとした表情で語った。

龍郷町龍郷出身。大島高柔道部の初代主将を務めた。「当時は他にも強い人がたくさんいた」と謙虚だが、周囲から「ファイトマン」と言われたほど気持ちの強い柔道家。柔道歴70年の7段。

毎年、全国から5~8段の高段者が集う同大会への出場は70代の頃以来今回が自身3度目。「85歳を迎えるのを前に記念になることを考えていた」という吉見さん。最初はハワイなど海外旅行に行こうかと予定したが、「いやそうじゃない。ワシは柔道マンだ」と思い直し、生涯最後の試合に臨むことを決意。接骨院の仕事をこなすかたわら、試合に向けてトレーニングを積んだ。

大会出場後、そのことを知った同年代の友人らから「勇気をもらった。ありがとう」などと多くの連絡をもらったという吉見さん。「同年代の人の励みになったのであればうれしい。親からもらった丈夫な身体に感謝したい」と笑顔で語った。

また「柔道は格闘技だが、『心身を鍛えて世のため、人のためになれ』というのが真の目的。80歳を過ぎてからは母校の後輩に直接、実技指導を行うことはなくなったが、今後も微力ながら奄美の柔道界に尽力していけたら」とも話した。