サンゴ礁の大規模白化確認

徳之島町畦海岸礁池で発生したサンゴ礁の大規模白化=提供写真=

群島内でも有数観賞ポイント・畦海岸礁池(徳之島町)
水質など分析、原因解明へ

2016年度奄美群島サンゴ礁保全対策協議会の重要サンゴ群集モニタリング調査でこのほど、徳之島町の畦海岸礁池で大規模なサンゴの白化現象が発生していることが確認された。奄美群島内でも有数のサンゴ礁観賞ポイントでの大規模白化現象。具体的な原因は分かっておらず、同会では水質調査の結果なども分析しながら、原因解明を目指すとしている。

同調査は4月下旬に漁業関係者から徳之島の県自然保護推進員の池村茂さんへの情報提供により発覚。潜水調査したところ、樹枝状ミドリイシ群落のほぼ全ての群体が白化していることが確認された。奄美大島では今年の1月24~25日にかけて記録的な寒波によってサンゴ群体の一部で白化が見られたものの、同町畦海岸礁池での発生はなかった。また、3月下旬の潜水調査でも白化は確認されていなかった。

今回の調査では、畦海岸礁池を優占する樹枝状ミドリイシ科群体のほぼ全てが白化し死滅。藻類に覆われた死滅群体も見られたという。白化したサンゴ群体はオトメミドリイシ、トゲスギミドリイシ、スギノキミドリイシなどの樹枝状ミドリイシ属、エダコモンサンゴ、トゲエダコモンサンゴなどの樹枝状コモンサンゴ属。シコロサンゴ、コノハシコロサンゴなどのシコロサンゴ属の葉状群体の白化は見られず、今回の白化により同畦海岸礁池では、生きたサンゴの割合が10%にまで減少した。

調査は畦海岸礁池の北側・金見海岸礁池と南側・母間海岸でも実施。母間海岸ではごく一部では白化が見られたものの、白化率は数パーセントで死滅はしておらず、白化現象は畦海岸礁池でのみの局所的発生となった。

同会では今後もサンゴ群集のモニタリングを続けるほか、4月下旬に行われた水質検査の結果を分析し、原因究明を図る計画。調査に参加した奄美海洋生物研究会の興克樹会長は「地元の人がオニヒトデなどの駆除に取り組み、大切に守ってきた海岸。群島内でもサンゴ礁の有数のポイントで、シュノーケリングなどのスポットだった。白化の前に特に大きな変化はなかったと聞いている。今後のためにも、白化を引き起こした原因について調べたい」と語った。