徳之島の将来の医療と福祉を考える会

日赤の血液製剤備蓄所の島内設置(受託)を決めた「徳之島の将来の医療と福祉を考える会」総会=7日、徳之島町

日赤「血液備蓄所」誘致へ
精神科医不足も危機的状況

 【徳之島】徳之島の将来の医療・福祉を考える会(会長・高岡秀規徳之島町長)の2016年度総会が7日、同町役場であった。宿願の「小児科医確保」に加え、南3島唯一の精神科医療機関からは「精神科医不足も危機的状況」の訴えも。また、島内の医療機関では血液製剤が足りず、男性が緊急搬送先で死亡していたケースが報告され、日本赤十字社委託の同備蓄所の設置を決めた。

 同会は、島内の医療福祉分野の抱える諸課題の改善に医療・福祉・行政など関連機関・団体代表で11年度に設置された。3町助成での常勤産婦人科医の確保などに成果を挙げた。高岡会長は「小児科に加えて精神科医の確保も課題。世界自然遺産登録で交流人口も増えると、医療との連携がさらに重要」などと要請。医療講演会や研修会を盛り込んだ今年度活動計画など全議案を承認した。

 協議の「小児科医」確保対策で町行政は、南薩を含め全県的課題の現状など県当局の反応も報告した上で、「議員大会などで取り上げるとやりやすい」と報告。医療側は「予防接種ではわれわれ民間病院も大学(病院)と連携できないか考慮を」。同科医師確保では「産婦人科医と同様インセンティブ(報奨)があれば、ハードルは低くなると思う。だが他診療科の医師とのバランスの問題も出てくる」とのジレンマも吐露。

 精神科医が全国的に不足した中、本県最南端の離島精神科医療機関(徳之島町)は「当院は医療法で5人の医師が必要だが、3人の常勤医師が入院患者(約200人)の主治医をしながら、外来診療(沖永良部・与論含む)に対応。思い通りの精神科医療ができないのが現状。院長も定年退職を延長して治療に当たっているが、危機的状況にある」と窮状を訴えた。総合診療側の見地からも「統合失調症やアルコール依存症も多く、地域の問題として捉える必要がある」と指摘した。

 血液製剤不足の問題は、島内の20代男性が交通事による出血多量で輸血が必要になったが、島内の医療機関にあった輸血量では足りずに沖縄県内の医療機関に緊急搬送後、死亡したケースに対するもの。日赤委託の同備蓄所だと期限切れ血液製剤の廃棄コストも日赤側が負担。地元は冷蔵庫とパソコンの負担だけでも済む。受託・設置の医療機関は今後協議するという。