各蔵元の奄美黒糖焼酎が並ぶ小売店
5月9日と10日は「黒糖焼酎の日」。酒造業界は約10年前に到来したブーム後、生産量、出荷量とも減少傾向が続いている。県酒造組合や各蔵元では、乾杯推進条例の周知や黒糖焼酎の日のPRなど群島内の需要喚起に努めるほか、国内外を視野に販促取り組みを強化し、反転攻勢を目指す。
同組合奄美支部(川崎洋三支部長)のまとめによると、今年に入ってからの生産・出荷量の推移は、1月が生産237㌔㍑(前年同期比334%)、出荷427㌔㍑(同113%)。2月は生産746㌔㍑(同105%)、出荷479㌔㍑(同93%)、3月は生産1301㌔㍑(同102%)、出荷565㌔㍑(同94%)となった。生産量は増加したものの、消費者の需要減により出荷量はやや減少傾向となっている。
本格焼酎全体の約2%にとどまる黒糖焼酎の国内シェア拡大に向け、同支部は2012年から「奄美黒糖焼酎語り部養成講座」を開講した。これまで奄美大島と東京で4回開催して、計110人が語り部として誕生。同支部では今後も事業を継続し、奄美黒糖焼酎のアピールにつなげたい考えだ。
各蔵元も独自に販路開拓を進めている。今年1月には福岡市で「2016鹿児島県産薩摩焼酎・黒糖焼酎第試飲会」(南九州酒販㈱主催)があり、奄美からは10社以上の主要銘柄のブースが設けられた。このほか国内外で開かれる物産展などにも積極的に参加して、消費拡大に努めている。
国際的な販促として、県商工会連合会による国のジャパンブランド展開事業を活用した黒糖焼酎のPRイベントを昨年10、11月にドイツで開催。バイヤーとの商談会などを通じ、今後、ヨーロッパ市場へ売り込む足がかりとして期待されている。
また、県酒造組合は昨年11月、初めて「ミス薩摩焼酎」「ミス奄美黒糖焼酎」を選ぶグランプリを開催。ミス奄美黒糖焼酎に選出された崎本彩さんはこれまでの約半年間、県内外で開催された各種イベントに参加した。崎本さんらミス2人は、今月10日に奄美市名瀬のかねく公園で開催される焼酎の日のイベントにも出席し、奄美黒糖焼酎の消費喚起に一役買う。
このほか、奄美大島の自治体を中心に制定されている「黒糖焼酎による乾杯推進条例」の周知や黒糖焼酎の日のPRで、群島内の需要喚起を図っていく考えだ。
奄美黒糖焼酎の日は、5(コ)9(ク)10(トウ)の語呂合わせ。消費拡大やPRを目的に、同支部が07年に制定した。黒糖焼酎について多くの人に知ってもらおうと、あす9日付の本紙にクイズが掲載されており、全問正解者の中から30人に、黒糖焼酎が贈られる。