テックス板更新など防除徹底

収穫期までミカンコミバエの誘殺ゼロが続けば検査合格でパッションフルーツも島外に移動できる。瀬戸内町が取り組んでいる島外でのPRのための販促フェアも実施可能だ(資料写真)

瀬戸内町ではパッション期待、事前申請周知
20週連続誘殺ゼロ

 農林水産省植物防疫所は11日、奄美群島におけるミカンコミバエの誘殺状況(5月9日現在)を発表した。最新週の5月3~9日までの誘殺状況は緊急防除区域内外ともにゼロ。緊急防除区域の奄美大島(加計呂麻・請・与路島を含む)の誘殺ゼロは20週連続。同島全域が「特定移動制限区域以外」となり、移動制限区域が解除された中、島外出荷は植防の検査合格が前提。関係機関は生産農家などに事前申請の必要性の周知を図っている。

 緊急防除区域の奄美大島の誘殺は、昨年12月15~21日の週に2匹(宇検村と瀬戸内町で1匹ずつ)確認されて以降、ゼロが続いている。喜界島・徳之島・沖永良部島・与論島の緊急防除区域以外は12月1~7日の週から23週連続誘殺ゼロ。

 昨年7月27日に加計呂麻島で最初に6匹の誘殺が確認された瀬戸内町。10月以降誘殺数が増加し、これまでの累計では700匹と奄美大島5市町村の中で最も多い。ミカンコミバエの成虫のうちオスの誘殺はゼロが続いているものの、メスの活動を示す寄生果実は年明け以降も確認、町は防除活動の徹底と積み重ねに全力を挙げている。

 町農林課によると、防除はテックス板(誘引薬剤と殺虫剤を含ませたもの)設置と果実調査などで対応。このうちテックス板は奄美大島側5500枚、加計呂麻島同、請・与路島1700枚とかなりの数を設置しており、「果樹園周辺だけでなく集落間の道路など至る所にテックス板を設置し、新たな発生となる世代交代を防止している」。

 誘引・殺虫効果を持続するため、1カ月~1カ月半ごとに町職員と委託作業員がテックス板を更新。今月も予定している。果実調査の方はグアバなど寄主植物の取り残し防止につながっており、最近も奄美大島側で30個のグアバ果実の取り残しが確認されたという。町など関係機関は果実の除去と同時に、所有者の理解のもと伐採にも取り組んでいる。

 同町の果樹農業でタンカンに次ぐ生産規模を誇るのがパッションフルーツ。面積2・6ヘクタール、生産量は今期約40㌧を計画しており、大和村などで生産されているスモモ同様、今月下旬から収穫できる見通し。誘殺数ゼロの継続で移動制限が解除され、パッションの島外出荷が期待されているが、生産農家などの中には無条件で島外に移動できるという誤った認識もみられるという。

 門司植物防疫所名瀬支所による同町での島外移動検査は19日(午前中が奄美大島側を対象にJA瀬戸内支所集選果場、午後が加計呂麻島対象に農林課瀬相倉庫)に計画されている。検査対象物は果実ではなく箱や袋、パックなど出荷に使用する資材。合格者にはラベルが配布され、出荷時にラベルを貼付することで島外に移動できる。町農林課は「検査を受けるには事前申請が必要。必ず役場か植防名瀬支所へ検査申請を行ってほしい」と呼びかけている。