物流への影響長引く

九州管内の高速道路が全面開通後も、奄美大島の小売店では震災の影響により品薄状態が続いている(一部写真を加工しています)

九州内高速道 全区間通行可能も 食料品など品薄のまま
熊本地震

 熊本地震の影響で通行できなかった大分自動車道の湯布院IC(インターチェンジ)から日出JCT(ジャンクション)までの区間が9日夜、一般開放された。全面通行止めになった4月16日以降初めて通行できるようになり、九州内の全区間で高速道路の通行が可能になった。物流に欠かせない道路はほぼ復旧したものの、被災地に製造拠点がある企業の商品などを中心に生産が不足しており、奄美でも食料品の欠品など影響が長引いている。

 民間宅配業者では、佐川急便が集配・配達不能としていた上益城郡の一部地域について、10日までに業務を再開。全地域で通常業務に戻った。道路事情により、ヤマト運輸も佐川急便同様、一部地域で遅配が発生するとしている。日本郵便もゆうパック取り扱いについて、全てのゆうパックの引き受けを11日から再開した。

 日本全国に花を出荷している和泊町の沖永良部花き専門農業協同組合では震災後、従来の鹿児島経由から空輸を活用した沖縄経由での出荷を強いられた。増えたコストは同組合持ちで、出荷先によってはコストが通常の2倍以上になることもあったという。

 同組合では今月8日の出荷分から、鹿児島経由による流通を再開。担当者は「輸送手段の変更によるコスト増は、組合にとって大きな打撃だった。従来の輸送の方が花の保存状態もよく経費も安く済むので、道路の復旧はありがたい」と話した。

 被災地には食品会社の製造工場も立地するが、復旧のめどが立たない工場もあり、これらの工場で生産されていた食料品などに影響が出ている。奄美大島内の各小売店では、飲料品や納豆などの日販品、乳製品などが品薄になっていた。

 ある店舗の担当者は「九州自動車道の全面開通から約2週間が経過したが、一部商品は製造拠点が被災していて生産ができていない。地元商品で代用できる商品については何とかなるが、陳列棚には欠品も目立つ。お客様には理解していただくしかない」と肩を落とした。

 建築業界からも懸念の声が上がっている。2011年の東日本大震災では、多くの家屋や建物が倒壊し、建築資材の需要の高まりなどで資材価格が高騰。業界では同震災の影響が現在も残るほか、20年の東京五輪開催に向け、資材価格は高い水準が続いているという。

 奄美市内のある建築業者は「熊本地震から1カ月の現在は、資材価格はほぼ変わらないが、今後仮設住宅の建設など建設ラッシュが予想される。資材の需要が高まり、仕入れコストが負担になりそうだ」と警戒を強めた。