徳之島・クロウサギ交通事故死

交通事故死とみられるクロウサギの成獣(円内、徳之島自然保護官事務所提供)と県道松原―轟木線(12日)

3カ月で2匹
県道松原―轟木線、ハード対策も課題

 【徳之島】わずか3カ月前の2月8日、交通事故死とみられるアマミノクロウサギの幼獣1匹が回収された徳之島北部の県道松原―轟木線の徳之島町轟木地内で12日朝、今度は成獣1匹の死体が見つかった。環境省徳之島自然保護官事務所は「交通事故の可能性が高い」とみて、ドライバーへの注意喚起と併せ、減速帯やアンダーパス(動物用トンネル)設置などハード面の対策も課題に挙げた。

 12日午前7時20分ごろ、天城町から車で出勤途中の会社員男性が死体に気づき、知人を通じて同事務所に通報。渡邊春隆自然保護官(30)によると、回収した死体は体重約2㌔、体長約40㌢の「成獣」。背中の一部表皮には野鳥がつついたような痕跡があったが、大きな外傷はない。発見場所や状況から、「交通事故の可能性が高い」。奄美野生生物保護センター(大和村)に送付して解剖するなどして死因を特定する。

 森林域をぬって走る県道松原―轟木線の徳之島・天城両町境(森林分水嶺)付近は、古くからクロウサギの出没・目撃情報が多いエリア。渡邊自然保護官は「ここ5年間は目撃例がなかったが、昨年末から目撃例が増えた。重点的なネコ対策の効果が現れてきたのか、と考えていた矢先の2月の幼獣の交通事故。そして今回は成獣が」と複雑な表情。

 ちなみに同島内では昨年12月以降に確認されたクロウサギの交通事故とみられるケースは計3件(2匹死亡、1匹は鹿児島市平川動物公園で治療中)。渡邊自然保護官は「松原―轟木線や農免道は、クロウサギが出る道の中では比較的に交通量も多く、スピードも出やすい。奄美大島のような減速帯やアンダーパスの設置を検討しても良いのでは」と提起した。