奄振審議会

奄美群島の振興開発報告と今後の開発実現に向け議論を交わした奄振審議会

「一日も早く根絶を」
入込客数増加 世界遺産見据え企業動きも

 【東京】奄美群島振興開発審議会(会長・原口泉志學館大学教授)の第106回会議が24日、東京都千代田区の中央合同庁舎第2号館で開催された。出席した委員からは、群島の人口問題、また世界自然遺産に向けた取り組みやミカンコミバエの被害に見舞われた農業の問題などが報告され、活発な意見が交わされた。

 同会には、振興開発審議会委員らが出席したほか、開会に当たって、国土交通省の津島淳政務官があいさつ。「奄美は海洋権益などで重要である一方、台風などの自然災害にも見舞われる地域。この前は私のふるさとである青森でも奄美が115年ぶりの大雪と話題になった。世界遺産登録に向け共に歩んでいきたい」と語った。続いて国土交通省の担当者が「2015年度に奄美群島の振興に関して講じた施策」について説明。人口は15年10月現在、11万1359人で、前年比で1464人の減となった。

 その一方で、奄美群島への入込客数は75万7887人で、前年より約5万人の増加となった。担当者は「バニラ・エア就航によるものと、世界遺産登録を見据えての企業などの動きが背景にある」と分析。入込客数は、06年と同水準まで回復することとなった。さらに、奄美群島交流需要喚起対策特別事業により、首都圏や鹿児島等と奄美群島を結ぶプロモーション等を実施。16年度より奄美群島・沖縄の航路・航空路運賃割引がなされることが発表された。

 また、再侵入が確認され、大きな被害をもたらしたミカンコミバエの防除対策について、昨年12月22日から連続して21週間にわたってオスの成虫がゼロの状況で、「ほぼ根絶の状態である」ことと伝えられたものの、事態を慎重に見守る必要があることが明らかになった。

 次に、環境省担当者が「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島にかかる世界自然遺産登録に向けた取り組み」をテーマに説明。現在、国立公園等の保護地域の指定あるいは拡張、アマミノクロウサギ等の外来種対策、世界遺産推薦書や管理計画の作成などに取り組んでいることを報告した。また、希少野生動物植物の追加指定種として、ケナガネズミ、オキナワトゲネズミ、アマミトゲネズミ、ホルストガエル、ナミエガエルなどがあったことを述べ、世界遺産登録に向けての保全を強化していくことの大切さが紹介された。

 女性農業経営士の平井美保子委員からは、「(ミカンコミバエ問題は)消費者から1年は頑張ってとの激励を受けて何とかしたが、これが、2年、3年となると厳しい。一日も早く根絶してほしい。スモモが出荷できることは喜ばしい」と、農業に携わっている立場からの意見が出された。また、本部玲子委員からも「那覇と沖永良部を結ぶ空路を何とか実現してほしい」の要望がされるなど、熱気あふれる意見が出された。

 伊集院幻委員は、「奄美にとっていい風が吹いているが、人口減少はわれわれの課題だ。観光客をどのように受け入れていくべきか、エコツーリズムのためのガイドの育成は必至」と町村会長の立場で述べていた。