松下村塾再in沖永良部島

生徒たちと島の課題などについて意見を交わす伊勢谷友介氏(右上)=20日、沖永良部高校

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立案したプロジェクトを発表する沖永良部高校の生徒たち=21日、沖永良部高校=

沖高で課題解決プログラム展開 リバースプロジェクトのメンバー来島
「志」をもって行動を

 【沖永良部】「松下村塾再in沖永良部島」が20、21日の両日、沖永良部高校(土持正三校長 生徒数276人)であった。地域の課題を解決する人材育成プログラムを展開する「リバースプロジェクト」(伊勢谷友介代表)のメンバー7人が来島。生徒らと一緒に島の課題解決に向けたプロジェクトを立案し、実際に行動することの大切さを伝えた。

 知名町の地方創生加速化交付金事業を活用。高校卒業後、進学や就職で島を離れる生徒達に、将来、島に戻る選択肢について考えてもらおうと、知名、和泊両町が協力して開催した。

 1日目は、同校の全校生徒を対象に講座を実施。講演した伊勢谷氏は「日本人と同じ生活を世界中の人がすると、地球が2・3個分必要になる。このような生活をしていて『僕は人のため未来のために生きている』と言えるだろうか」と述べ、リバースプロジェクトが行っている車のエアバックなどを使ったリサイクル事業や新潟県南魚沼市の米農家と連携したプロジェクトを紹介。「問題に関わらなければ未来は見えてこないし、今の自分たちの状況や変えていく方法もわからない。高校生がこの島を変えたいと思い、動き始めたら未来を変えられるかもしれない。持続可能な社会をけん引する『志』を持って行動を起こす人材になってほしい」と話した。

 トークセッションでは、リバースプロジェクトから伊勢谷氏と村松一氏、知名町から合同会社地球村研究室の石田秀輝氏、同校サッカー部監督の林健太郎氏、同町で美容室を経営する竿智之氏の5人が登壇。サッカー部の取り組みについて林氏は「部員が栽培したジャガイモを販売し活動資金にしている」「部の中に戦術部やマネジメント部、メンタル部、外商部などを作り、部の発展のために生徒たちが意見を出し合っている」と説明。伊勢谷氏と村松氏は、自分がやりたいことをプロジェクト化する上で必要なことについて▽周囲からの共感を集める▽自分で責任を取る覚悟を持つ▽〝何〟のために活動するのかを考える―などを挙げた。

 その後、生徒らは興味をもった課題や担う役割などをリバースプロジェクトのメンバーと考えた。

 2日目は、生徒約60人とファシリテーター役の地域住民10人ほどが参加。観光や宣伝、コミュニティー作り、ファッションなど7グループに分かれて、島の課題を解決するプロジェクトを立案した。発表では「高校生がパンフレットを作り案内するツアーを作りたい」「キクラゲの菌床を土づくりに使い無農薬のジャガイモを作る」「おじいやおばあの手料理を学校の売店で売る」「高校生からデザインを集め、リサイクル素材を使ったエコ制服を作りたい」などの意見が出た。

 同校1年の新納健之さん(15)は「難しかったが、沖永良部のことを考える機会になった」。同3年の今井美樹さん(17)は「グループワークの中で良い意見が出てきた。実際に形にしていきたい」と話した。