サンゴの一斉産卵確認

27日夜、奄美市名瀬大浜海岸の沖でサンゴの産卵が確認された(興さん提供)

「サンゴ回復、良い兆候」
写真家・興さん 大浜沖で撮影

奄美海洋生物研究会会長で自然写真家の興克樹さんが27日夜、奄美市名瀬の大浜海岸沖でサンゴの産卵(ミドリイシ属の一斉産卵)を撮影した。産卵を確認したのは直径40㌢ほどの卓状のクシハダミドリイシ数群体。興さんは「奄美大島では2008年までにオニヒトデの大量発生が収束し、サンゴも回復傾向にある。国立公園化や世界自然遺産登録へ向けて良い兆候だ」としている。

撮影は27日午後10時~同11時にかけて、大浜海岸から沖合80㍍、水深3㍍の地点。同時刻帯からクシハダミドリイシの産卵が始まり、直径0・5㍉ほどの大きさの淡いピンク色のバンドル(卵と精子が入ったカプセル)を放出。バンドルはゆっくりと浮上して海面ではじけ、他群体の卵や精子と受精。幼生になり数日から数週間浮遊した後、適地に定着しサンゴとして成長するという。

興さんによると、今回の撮影地である大浜礁池は98年夏のサンゴの白化現象で壊滅。現在のサンゴはその後、新たに定着し成長したものという。

05年頃のオニヒトデ大発生時は、礁斜面でオニヒトデの集中駆除を行い、同礁池内のサンゴを保全した経緯があり、興さんは「守りぬいたサンゴが産卵する姿を見て感動した」とも語った。