龍郷町玉里でACNトークイベント

龍郷町玉里コミュニティセンターで開かれたACNトークイベント

「入れない・捨てない・広げない」
~ノネコなど外来種対策三原則~

 奄美ネコ問題ネットワーク(ACN)は31日夜、龍郷町の玉里コミュニティセンターでトークイベントVol4「いま奄美の森で・・・!?」を開催した。奄美の自然と外来種問題について、専門家らが講演。大人から子どもまで、町内外からの参加があり、人間も野生動物もネコも、みんなが幸せに暮らすためにどうすれば良いか意見を交わした。

 ACNでは、ネコ問題の周知を目的にこれまで奄美市名瀬や瀬戸内町、大和村などでノネコに関する出前講座を実施。この日はNPO法人奄美野鳥の会の会長で、ミステリー作家でもある鳥飼久裕さんが講師を務めた。

 奄美の自然について語った鳥飼さんは「食べる、食べられるという自然の関わりを乱すのがマングースやノネコなどの外来種」とし、トゲネズミやアマミノクロウサギなど、ノネコ被害に遭った野生動物の写真を示しながら、奄美が直面するノネコの問題について解説。外来種は侵入していないか絶えず監視し、侵入したら拡がらないうちに排除する必要があるとした上で、「マングースと違い、ノネコは昼夜問わず活動することができる。さらに、狩猟能力も高いので、マングース以上の脅威になる。外来種は『入れない・捨てない・広げない』を三原則に、ペットは人と一緒に生きる生き物と考えてほしい」と呼びかけた。

 奄美哺乳類研究会の阿部優子獣医師がTNRなどノネコの供給源となるノラネコ対策の現状などを紹介。日本の各離島の取り組みにも触れ、「ノネコ対策の先進事例はたくさんあるが、どの島よりも奄美は島の面積が大きく、人口も多い。一時保護して飼い主を探すのにも限界がある」と、問題点などを指摘した。

 質疑応答では参加者から「マングースにしてもネコにしても、駆除することが前提で胸が痛い。増えたら亡き者にするという考え方を根本から考えてほしい」という声も。鳥飼さんは「誰もが殺したいと思っているわけではない。殺すことありきではなく、奄美にもともと棲んでいる生き物を守るためにはどうすればいいかと考えたときの苦渋の決断。守るためにも、捨てさせないようにすることが大事」と語った。