「奄美パパイア」収穫祭

テープカットで「奄美パパイア」の収穫開始を喜ぶ関係者=11日、徳之島町井之川

奄美パパイアはさみ入れ
はさみ入れを行う㈱ダイエー近澤靖英代表取締役(左)と生産者代表ら

 【徳之島】㈱ダイエー(本社・東京都、近澤靖英代表取締役)が「野菜型パパイア」の商品開発を提示し、2014年度から徳之島で産地化が始まった「奄美パパイア」の収穫祭(JA県経済連主催)が11日午前、徳之島町井之川のパパイア園であった。世界自然遺産登録に向けて地域農産物にも関心が高まる中、健康志向の新野菜としてのブランド化による島おこしに期待。16年度共販見込みは計15㌶、220㌧(前年比3・3倍)に拡大した。

 パパイン酵素の機能性(肥満防止や美容効果、消化不良、胃もたれ改善など)が認知されつつある中で13年12月、ダイエーが野菜型「奄美パパイア」の商品開発を提示。14年にはJA県経済連と県大島支庁徳之島事務所が同産地化計画を策定し、ダイエーと鹿児島くみあい食品㈱が商品開発プランに着手。同年4月パパイア苗「植樹祭」を行い、生産者8人で面積拡大に乗り出した。相次ぐ台風被害の大きな試練に直面したが、販路確立の期待感もあり、わずか2年間で生産農家110戸、面積15㌶(3町)に急増した。

 待望の収穫祭は、JAあまみ徳之島地区果樹部会副会長でパパイア部会長の熊元与八郎さん(54)の園(約45㌃)であり、関係機関・団体や生産者代表ら約60人が参加した。

 JA県経済連・経営管理委員会の本郷栄会長は「徳之島を含む奄美・琉球の世界自然遺産登録を間近に、この地域の自然や環境、農産物にも大きな注目が寄せられている。地元で大切に育んだ奄美パパイアをダイエー、イオンリテール㈱とともにブランド化を進め、多くの消費者に食べていただけるよう精一杯販売。徳之島の若い農家に夢を与え、地域農業の一層の活性化につなげたい」。

 ダイエーの近澤代表取締役も、台風被害を乗り越え、若手を中心に生産者が110戸に増えたことに「将来的に安心して取り組める。パパイアのビタミンなどをもっと本土に紹介し、東京と京阪神エリアで販売を展開。生産を続けていただければ、われわれが販売します」と述べ期待と決意を示した。

 生産者代表の決意表明で熊元さんは「8人で始まったパパイア生産がこの2年間で110人・15㌶に。若い生産者たちは『島おこしをパパイアで』をスローガンに頑張っている。みなさまの力で全国の食卓に届けて欲しい」と期待を寄せた。

 関係機関・代表らテープカットに続いて「はさみ入れ」セレモニーで本格収穫を祝い合った。産地化計画では18年度まで20㌶、400㌧を目標にしている。

 午後からは同町生涯学習センターに会場を移して祝賀会。カットスライスや乾燥パパイアなど商品を使った料理の試食会もあった。