7月12~14日にも解除か

ミカンコミバエの発生状況を確認するため設置されている捕獲用のトラップ。3世代相当期間経過後も誘殺ゼロが続けば緊急防除は解除される

奄美大島ミカンコミバエ緊急防除
「飛び込み」で影響も

 奄美大島で侵入・発生が確認された果実、果菜類の害虫ミカンコミバエは、最後に誘殺が確認された昨年12月21日から、3世代相当期間となるのが7月9日。この日付までに新たな誘殺が確認されなければ根絶と判断され、有識者のお墨付きのもと同月12~14日にも緊急防除が解除される見通しだ。

 農林水産省植物防疫所によると、奄美群島におけるミカンコミバエ誘殺状況は最新週の5月31日~6月6日もゼロとなり、これで緊急防除区域の奄美大島(加計呂麻・請・与路島を含む)の誘殺ゼロは24週連続となっている。

 誘殺ゼロの連続で奄美大島の特定移動制限区域が解除(4月27日)され、植物防疫所の移動検査合格という条件付きで、移動制限植物の島外出荷が可能になった。また、検査に合格した果樹・果菜類の品目は小売店での再梱包も可能となり、小分けなど持ち出ししやすいサイズにすることも出来るようになった。

 特産果樹では現在、スモモやパッションフルーツの収穫期に入り、今後マンゴーの収穫期を迎えるが、条件付きながら島外出荷という経済活動が緊急防除下でも可能となっている。ただし誘殺が確認されると、その地点から5㌔以内が再び制限区域指定される。

 こうした制限区域の指定も根絶が判断され、緊急防除が解除されるとなくなる。同省消費・安全局植物防疫課の島田和彦課長は「3世代相当期間まで誘殺ゼロが続けば、できるだけ早く解除したいとの方針で取り組んでいる」と説明。誘殺状況は週1回発表しており、月曜日までの調査のまとめを水曜日に発表している。

 7月9日に3世代相当期間が経過する中、月曜となる11日の調査まとめで「発生なし」となった場合、同省では翌12日にも専門家による第4回目となる防除対策検討会議を開催。同会議での最終判断が緊急防除解除のお墨付きになるが、省令に基づく解除となるため、規制の廃止は官報掲載など法的手続きが必要。こうした手続きも同省では速やかに対応していくという。

 誘殺されているのはオスの成虫。昨年12月末から誘殺がない状況が続いているものの、3月22日には寄生果実(グアバ1果)が確認され、産卵するメスの活動を示した。メスの活動も果実調査などの際、植防の防疫官が寄主植物の果実を摘果し、果実の中を見ることで産卵していないか確認。この結果も緊急防除解除の判断材料となる。

 収穫期の果実への寄生では、台湾などミカンコミバエが発生している海外からの飛来による「飛び込み」にも警戒しなければならない。昨年6月30日には、他発生地域からの飛び込みによる誘殺が確認されている。

 今後、誘殺が確認された場合、飛び込みか、地域内での発生かを見極める必要がある。この判断基準は5月31日に開かれた第3回検討会議で示された。誘殺確認から1世代相当期間、確認地点から半径5㌔で新たな誘殺が確認されなければ、飛び込みと判断され、予定通り緊急防除は解除される。ただし解除時期は影響を受ける。1世代相当期間の確認が必要になるため。同省によると、海外の発生地に近い沖縄では今年に入り一度、飛び込みが確認されており、今後、台風が発生すると、その北上に合わせて飛来する可能性もある。