「瀬戸内パッション」

収穫式を開き、関係者は販売機運を高めた

甘さ増し品質向上
「きょう信じて頑張ってきた」

 皇室に献上されている瀬戸内町産のパッションフルーツ(以下パッション)が収穫シーズンを迎えた。同町と瀬戸内パッションブランド産地協議会(宮原仲清会長、23戸)は13日、同町古仁屋の「せとうち物産館」加工室で果実分析検討会を開き、平均糖度は17・9度(前期比0・81ポイント高)。クエン酸は2・20(同0・42ポイント高)の高品質を確認。同日、同町阿木名の武富農園(武富光則代表)ビニールハウス前で収穫式を開き、全国的なブランド性を持つ特産品の出来栄えに関係者は期待感を示した。

 同町農林課によると、今期の町内生産者数26人、施設面積250㌃(前年245㌃)で、生産量は約39㌧(同約30㌧)。生産額は約4千万円を見込む。検討会では19農家が持ち寄った「ルビースター」「サマークイーン」の2種24品(収穫後3日以内、L級)から糖度平均値、クエン酸平均値を検出した。

 今回、分析開始した2009年以降、最も高い数値となったことについて同課の田原章貴主査は「平年よりも出来が大変良く、品質にバラつきがない。生産者の熱意が増収につながったのでは」と評した。

 ミカンコミバエ種群の緊急防除で今季の出荷が危ぶまれたが、誘殺数ゼロが続いたことで4月に移動制限が解除(植防検査の条件付き)。パッション生産者と関係者は、収穫を迎えられたことに安堵している。

 収穫式には、鎌田愛人町長、県大島支庁農政普及課ほか関係機関、生産者ら約50人が参加。ハウス内で実ったパッションを手に成熟度を確認した。武富代表によると、今季収穫は約1~1・5㌧を計画。ほとんどが東京など島外に出荷されるという。

 深紅色の贈答用ケースに詰められたパッションを前に、宮原会長は「島外出荷の動向が懸念されたが、きょうのこの日を信じて地元の生産者は頑張ってきた」と感無量に述べ、「『瀬戸内町といえばパッッション』と全国に知られるよう、これからも取り組んでいく」と意気込み、参加者に今後の生産振興とブランド確立を呼びかけた。収穫は7月下旬まで続く。

 今後についてはふるさと納税の返礼品、皇室献上(9箱)などを予定。また地元販売イベントとして18日午前8時半、同町の「せとうち海の駅」で朝市パッション祭りを行う。