つながり合う地域実現へ

奄美文化センターで開かれた「地域支え合いフォーラム」

「子ども時代から学ぶ機会を」 先進地取組み紹介や意見交換
奄美市フォーラム

2016年度「地域支え合いフォーラム」(奄美市主催)が3日、奄美市名瀬の奄美文化センターであった。奄美市が目指す地域像「小さな手助けをし合いながら、つながり合う地域」に向け、先進地の取り組み紹介やパネルディスカッションを通じて、これからの奄美市の取り組みについて意見を交わした。

同フォーラムは「誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる地域」の実現を目指し、事例発表や意見交換の場として開催。講演では公益財団法人さわやか福祉財団の堀田力さんが「助け合いが広がるまちづくり」をテーマに、地域の住民が安心して心豊かに暮らせる社会づくりについて語った。

パネルディスカッションには行美紀子さん(根瀬部地区モーニングカフェ代表)、廣田盛幸さん(用安・ザ・サロン代表)、田丸友三郎さん(奄美市第1層生活支援コーディネーター)、勝村克彦さん(名瀬地区第2層生活支援コーディネーター)、塩崎博成さん(笠利地区第2層生活支援コーディネーター)の5人がパネリストとして登壇。アドバイザーにNPO法人たすけあい遠州代表の稲葉ゆり子さん、コーディネーターを堀田さんが務めた。

最初に行さんと廣田さんがモーニングカフェとサロンの取り組みを紹介。今後の課題で▽無理なく継続させる▽語らいの場から生活の中で互いを支え合える集落へ▽5年後、10年後の自分たちの老後―を掲げる行さんは、「みんなで集まることで、ただの雑談だけでなく、『もっとこんな取り組みをやってほしい』『隣の人がこんなことで困っているよ』という情報も得るようになった。次は、そこから私たちができることを考えたい」。スタート時はなかなか人が集まらなかったという用安のサロンだが、「4月から徐々に人が集まり始めた」と語る廣田さん。当初はお茶を飲んでおしゃべりするなど居場所づくりが中心だったが、参加者の要望から頭の体操やストレッチもスタートし、現在は常時10人ほどが参加していることなどを説明した。

静岡県で子どもから高齢者、障がい者まで色々な人が集まる「もうひとつの家」を運営する稲葉さんは同NPOの取り組みを紹介。「ここに来たら誰かに会える」と地域に馴染む同家の存在に、行さんも「根瀬部にも空き家がある。ぜひ『もうひとつの家』のような活動もしてみたい」と話す場面もあった。

勝村さんは「地域で語り合える場づくりは、一過性でなく、ゆっくりでも継続することが大事」として、小中学校で「地域の支え合い」に関する授業の実施など、子どもの時代から学ぶ機会を作る必要性も提案。「子どもからお年寄りまで、自然に自発的に、他人を助けられる風土を作りたい」と呼びかけた。