奄美での後見制度普及へ

市民後見人養成講座が開講。成年後見制度などについて理解を深めた

養成講座スタート 17年度末100人養成目標

2016年度市民後見推進事業「奄美市市民後見人養成講座」(奄美市主催、NPO法人あまみ成年後見センター運営)が9日、同市名瀬の奄美病院デイケア棟で開講した。第1回は同NPOの勝村克彦理事長が講師となり、成年後見制度などの概略を講義。17年度末までに100人の市民後見人の養成を目標に掲げ、奄美で同制度の普及につなげる方針だ。

同制度は00年の民法改正で創設。認知症や精神、知的障がいなどで物事の正常な判断が困難な人(以下本人)に対し、家庭裁判所から認定を受けた人物・団体が、金銭契約など一定の行為を代理で行う権利を与えるもの。市民後見人は弁護士や社会福祉士などが行う「第三者後見人」に分類される。

前年度に続き今回が2回目の講座には定員40人に対し、43人が受講。開講式で勝村理事長は、「超高齢化社会の進展により、認知症高齢者の増加が見込まれ、自分たちだけで安心した生活ができない人たちが増えることが予想される。成年後見制度の利用を促進し、普及させるためには担い手の育成が急務。受講者が後見人の担い手となり、地域で活躍してもらうことを期待する」とあいさつした。

講座では成年後見制度を取り巻く環境や概要などについて解説。現在国内で約300万人の認知症患者がいる一方、同制度を利用する本人は先進国の平均である総人口の1%(日本は約120万人)に遠く及ばない約19万人に。また25年には、65歳以上が人口の約3割、75歳以上が約2割を占め、認知症高齢者が約700万人と推計されることから、「同制度の利用急増を見据え、第三者後見人の必要性が高まってきている」と指摘。

全国で約7割を占める第三者後見人は、奄美では専門職が少ないことから約2割にとどまる。市民後見人の必要性について、▽家族関係の希薄化による親族のなり手不足▽専門職後見人の不足▽被後見人の増加―などを列挙。本人と同じ地域に居住することから、「顔の見える手厚い後見活動ができる」と強調した。

受講生からは「自分が認知症になった時のことを考えて受講した」「後見活動を通じて、社会貢献したい」などの意見があった。