「クロウサギの里」活性化へ

世界自然遺産登録にも備え環境整備が進む「東又泉」前の広場=天城町当部

天城町当部 地域の宝「東又泉」も活用
オープンカフェなど検討

【徳之島】天城町は、国立公園化や世界自然遺産登録への徳之島地域の核心的エリアの一つ同町当部=とうべ=地区で、県の魅力ある観光地づくり事業で環境整備を推進している。今年度はさらに町単事業で湧水池「東又泉(アガリマタイジュン)」と空き家を活用したオープンカフェ、情報発信拠点など整備も計画。「クロウサギの里」活性化への環境整備を本格化させている。

同町当部地区は、アマミノクロウサギをはじめ多様な希少野生動植物たちを育む、同島内陸の照葉樹の山あいに位置。集落(約20世帯・40人)の住民自ら〝限界集落〟を自認しつつも、町営「クロウサギ観察小屋」(南部ダム敷地内)、古来の名物名所「名水・東又泉」、オキナワウラジロガシの巨大板根など照葉樹の森、戦中の旧日本軍部隊の留魂碑、信仰地―など多様な〝地域の宝〟、観光素材を内包する。

町商工水産観光課によると、県の魅力ある観光地づくり事業は15年度から2年継続(総事業費6263万2千円)で実施中。10日現在、「東又泉」前広場へのトイレ棟の建設や、隣接の照葉樹林をぬって集落の守護神「当部ビンジルガナシ」、オキナワウラジロガシ(板根)、旧日本軍の取水施設までの遊歩道などが整備済み。

遊歩道にはスロープを設け、表面は、歩きやすさと樹木の根の保護などにも配慮して「透水性土固化」舗装を採用している。他の希少植物はもちろん、法=のり=面の希少コケ類についても保護のため手を加えていないという。

一方、町単独事業(600万円)では、「東又泉」取水池に隣接する空き家(119・04平方㍍)を町が借り上げ、泉からの直接取水を可能にし、家屋や庭の一部も改造。「当部の名水」などと評されてきた同湧水を利用した「オープンカフェ」なども今後検討。地域おこし協力隊員のアドバイスも得て活用方針を今後検討、運営は当部集落の女性連メンバーに委ねられる。