緊急防除の解除決定

農林水産省で行われた「第4回ミカンコミバエ種群の防除対策検討会議」

「限りなくゼロに近く根絶とみなしていい」
農水省検討会議 誘殺時の対応マニュアル策定へ 地元住民の協力評価

 【東京】農林水産省は13日、「第4回ミカンコミバエ種群の防除対策検討会議」(座長・守屋成一国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構中央農業研究センター企画部産学連携室専門員)を開催した。これまでの誘殺状況や防除実績の総括評価を行い、最後の誘殺(2015年12月21日)から3世代相当期間が経過した最初のトラップ調査(7月11日)までにミカンコミバエ種群の誘殺が確認されなかったことから「ミバエはゼロではないが、限りなくゼロに近く、根絶とみなしていいだろう」(専門家)と判断。昨年から続いてきた島外への移動規制や緊急防除が14日から解除されることになった。今後はテックス板の備蓄や誘殺時の対応マニュアル策定、寄主植物の植栽地図の作成などの防除対策が計画されている。

 奄美大島ではミカンコミバエ種群の誘殺が確認されたことで、昨年の12月13日から植物防疫法に基づく緊急防除として、寄生のおそれがある果実のうち、ポンカンとタンカンなどの移動規制を実施。4回目となる同会議は、同種群の早期根絶を図るため、これまでの誘殺状況や防除実績の総括から緊急防除の解除の判断をゆだねるものとなった。会議は非公開。

 奄美大島で行われた最終のトラップ調査では、388トラップを確認。誘殺がなかったことから、会議では「ミバエ根絶と緊急防除の解除を妥当とする」と判断。14日の官報への掲載が決まった。

 今後、再度ミバエの誘殺がある場合の対応策も検討され、トラップの増設及び再配置等の侵入警戒体制の強化、テックス板の備蓄や即時供給体制を構築。さらに、県と植物防疫所では、誘殺が確認された場合に速やかに対応できるように誘殺時の対応マニュアルの策定を実施する方針とした。

 今回の防除対策では、地元住民による果実の廃棄処分や断裁などの協力が大きかったことなどから、除去作業等に利用できる寄主植物の植栽地図を作成し、住民に提供、引き続き住民と連携した取り組みを実施する予定。さらにミカンコミバエの誘殺が確認された場合は、各市町村を通じて地元住民とも情報共有を図り防除対策を行うことが決まった。

 予防防除については誘殺状況等によって、必要に応じて実施の可否について検討する予定という。