森山農水相が果樹園視察

平井さんの案内で果樹園を視察する森山農水相ら

ミカンコミバエ「情報の共有大事」
農家訴え「3度目絶対ないように

 14日、果実・果菜類の害虫ミカンコミバエ種群の緊急防除省令が廃止され、その翌15日、森山裕農水相が奄美大島入り。奄美市名瀬の果樹園を視察し、果樹の全廃棄など早期防除に取り組んだ農家と意見交換。「ミバエ発生は今回が2度目。3度目は絶対にあってはいけない」と訴えた農家に対し、森山大臣も「今後このようなことがないように対応していかなければならない」と応じた。

 森山大臣は同市内のホテルで地元首長と意見交換後、金子万寿夫衆院議員らとともに、平井果樹園を視察。園主で生産者の平井孝宜さん(35)の案内のもと園内を巡り、ミバエ防除におけるこれまでの農家の取り組み等について、平井さんから聞き取りを行った。

 今回の防除作業に伴い、タンカンなど主に約52㌧の果樹を廃棄した平井さんは「当初2年間は出荷できないと思っていたが、半年で収束を迎えたことは大変ありがたい」と感謝を伝えるとともに、「ミカンコミバエによる奄美大島での移動規制は今回が2度目。1度目は防除に10年かかり、今回は半年で収束したが、3度目は絶対にないように。今回は36年ぶりの発生だったが、次の世代が農業をしたときに絶対こういうことを起こさないよう私たちも取り組んでいきたい。(行政側も)そのつもりで対応していただけたら」と大臣へ訴えた。

 視察後に取材に応じた森山大臣は「農家のみなさんが精魂込めてつくった農産物を廃棄するほど、悲しいことはないと思う。今後はそれがないように対応していかなければならない。農水省だけで出来ることではないので、市町村、県、農家、住民のみなさんの理解、協力をいただいてやっていくことが大事」と強調。情報開示の遅れが被害拡大につながったとの指摘については、「できるだけスピーディーに情報を伝えることは重要なことだと思っている。トラップを増設し、どこかで異常があればお互い(行政と農家など)が情報を共有して、より関心を高めて対応していくことが大事。そういうことも生かさせていただければ」と述べた。