独特の香りの着生ラン

10㍍ほどの高さで着生し、開花した「フウラン」=西康範さん撮影=

自然観察の森 「フウラン」開花

 龍郷町の奄美自然観察の森で「フウラン」が開花した。猛暑が続くなか、17日にシイの木に着生している様子を奄美市名瀬の西康範さんが撮影した。

 奄美の植物に詳しい山下弘さんの著書『奄美の絶滅危惧植物』によると、本州(茨城県以西)~九州、奄美大島、徳之島、沖縄島に分布している。ラン科でリュウキュウマツやイタジイの樹幹、近海地の岩上に生える小型の着生ラン。花の長さは5~7㌢、葉の長さは6~12㌢ほどある。

 環境省のレッドリストでは、絶滅の危機が増大した絶滅危惧Ⅱ類(VU)に分類。山下さんは絶滅危惧の主要因として、園芸採取、森林伐採などを挙げている。かつて奄美大島東海岸の崖地で見事な群生地があったが、ほとんど消失したという。

 花期は7~8月。紫色を帯びた白い花が、独特の芳香を放つ。撮影した西さんは「一服の清涼感が味わえる」と話す。

 観察の森の川畑力指導員は「1週間ほど前に開花した。花は3週間ほど開花を続け、日中香りは強いが、夜になると弱くなる面白い性質を持っている」と話し、施設利用のマナーを守った観察を呼びかけた。