外務大臣「優秀公邸料理人」表彰へ

外務大臣「優秀公邸料理人」表彰など決定を報告した松田雅俊さん(正面左)=18日、天城町役場

松田雅俊さん(天城町出身)
在イタリア日本大使館勤務

 【徳之島】天城町松原出身で、在イタリア日本大使館の公邸料理人・松田雅俊さん(34)=ローマ市在住=が、外務大臣の「優秀公邸料理人」表彰と「優秀公邸料理長」称号認定を受ける。授賞式(20日、同省)を前に帰国・帰省して18日、ふるさとの大久幸助町長らにも報告。ユネスコ無形文化遺産の和食文化の伝道師、イタリア伝統食材との融合など〝食の外交官〟のさらなる活躍に期待した。

 松田さんは樟南第二高校、鹿児島市内の調理専門学校を卒業後、同市内のホテル調理部門に勤務。上司がその若い才能を見出し3年半後、日本料理の老舗「㈱なだ万」に紹介転職。2010年「食の祭典・東海3県調理師大会」で和食部門で準グランプリ(東海農政局長賞)を獲得するなど才能を発揮。13年に「なだ万」から出向の外務省・公邸料理人に応募して抜てきされた。

 公邸料理人の第一歩は13年3月~14年7月の国際連合日本政府代表部(ニューヨーク)勤務。在イタリア日本大使館には14年9月から在職中。現地スタッフも動かして最多で450人規模の大使公邸親善パーティーもこなす。

 現地政財官界の有力者や各国外交団などを招待した会食の合間には、同無形文化遺産で先行した「地中海料理」のイタリア食材も活用した「和の老舗とローマの伝統食材の融合」をテーマにチャレンジ。各国の夫人らを対象に寿司など和食普及の料理教室も開くなど〝食の外交官〟役も果たしている。

 外務大臣表彰と「優秀公邸料理長」の称号認定は、優秀な公邸料理人の外交活動への貢献の意義を改めて認め、今後の優秀な公邸料理人の確保の一助とする(同省)ことなどが目的。今年の対象者は全国で14人。

 松田さんは14年に病気で他界した父・俊雄さん(享年62)の墓前にも決定を報告した。

 役場表敬時の大久町長らの祝福と質問攻めには「子どものころから料理は好きだった。奥の深い世界だが、専門学校に進んでさらに楽しくなった。大臣表彰は感激です」。現地公邸料理人の視点から「イタリア料理も和食と同じで素材の味を大事にする点で共通している」。妥協を許さない厳しい公邸料理人の表情を緩ませながら「将来は島に帰って自分の店を持ちたい」と話した。