農林産物加工センター稼働

22日に稼働式を迎えた「奄美市農林産物加工センター」

住用地区の産業振興に 将来、観光拠点で利用も
奄美市

 県が中山間地域総合整備事業を活用し、奄美市住用町の摺勝に整備した「奄美市農林産物加工センター」の稼働式が22日、同所であった。国道沿いの旧施設と比べ、約2倍の規模。大型保冷庫など設備・備品も充実しており、タンカンをはじめとした農林産物を生かした住用地区のいっそうの産業振興。さらに今後、隣接整備を予定する特産品販売所や観光案内所などの中核施設とトイレ、広場など一体化した将来の観光拠点施設としての活用が期待されている。

 同加工センターは、地域農業活性化の拠点として、タンカンをはじめ特産果樹やタケノコなどの農林産物の加工開発を行うことを目的に2014年度から2年の工期を経て昨年度末までに整備。事業主体は県で総事業費は1億896万7千円(国県補助率90%、市負担10%)。3月31日付で県から奄美市へ無償譲渡され、市は7月から㈲サン奄美(師玉洋子代表)に管理業務を委託。同日、稼働式を迎えた。

 新たな加工センターは鉄筋コンクリート平屋建て。ボイラー室を含む延べ床面積は240・65平方㍍。特産品加工室を始め、冷凍冷蔵庫室、加工研修室、事務室、エアーシャワー室など整備。人の動きである動線や衛生管理などに配慮した設計で、旧施設と比べて機能も格段に充実。

 また旧施設は台風や豪雨など災害のたびに浸水被害に見舞われていたため、「今後は浸水被害の心配をしなくてよい」(師玉代表)ことも利点という。

 同市によると、加工センター整備は13年度から5カ年計画で進める「森と水のまち住用観光プロジェクト」とも連携。敷地内に今年度中にトイレ、その後も特産品販売所や観光案内所の機能を備えた中核施設も整備していく計画。式であいさつした朝山毅市長は「住用地区の農林産物加工だけでなく、(将来の)観光拠点施設としてマングローブパークとともに、世界自然遺産登録や国立公園の動きに合わせた観光の核としての活用を期待している」と述べた。

 旧加工センターは92年、旧住用村時代に整備され、これを利活用するため当時の住用村生活研究グループの女性有志がサン奄美を設立。特産品の加工販売や販路拡大など、住用地域の活性化に取り組んできた。

 サン奄美の師玉代表は「農家の収入アップなど地域農業活性化の一助になるよう頑張りたい。研修室などもあり、地域の食の伝承や、シマ博など観光関連イベントなどの取り組みも充実させられるのではないか」と期待した。

 国道沿いの旧施設については、今年度中に解体・撤去される予定。