外来種のタカサゴユリ駆除

湯湾岳中腹に自生するタカサゴユリを駆除した参加者ら

ウケユリとの交雑種懸念
環境省と大和村 湯湾岳中腹で

大和村の環境省奄美野生生物保護センターは4日、湯湾岳中腹の林道で外来種であるタカサゴユリ(シンテッポウユリ)の駆除活動を行った。同種の生育地は、奄美大島や加計呂麻島、請島、与路島、徳之島にある固有種・ウケユリ(絶滅危惧種ⅠA類)自生地の近くということもあり、昨年から駆除活動を実施。同センターでは「一番怖いのは交雑種ができること」とし、根気強く駆除活動を継続するとした。

同センターによると、タカサゴユリは台湾原産のユリで、国内ではタカサゴユリとテッポウユリの交雑種であるシンテッポウユリも品種として流通。駆除対象となった同種がどちらかは未確認となっているが、いずれも環境省が侵略性の高い外来種として「生態系被害防止外来種リスト」に記載。15年3月に県が発表した侵略的外来種番付表にも掲載されている。

今回の駆除活動には同センター職員や同村役場職員、地元ボランティアなど約10人が参加した。タカサゴユリはウケユリやテッポウユリなどと比べ葉が細いのが特徴。同村在住で自然愛好家の大町博之さんは「種が落ちても、根が残っても生えてくのがユリ。できれば、花が咲き終わる前に駆除するのが理想的」と話した。

同センターの岩本千鶴自然保護官は「侵入経路については、法面の吹付や人の靴などについていた、鳥が運んできたなどいろいろな可能性があり、原因は不明。今のところ把握している生息地は湯湾岳のみだが、もしかしたらほかにもあるかもしれない」と語った。