希少植物「保護増殖も必要」

希少植物の保護増殖も検討課題に(徳之島地区自然保護連絡会)=9日、天城町当部

昆虫トラップ
パトロールで回収した「昆虫トラップ」(天城町美名田山林道で)

合同パトで昆虫トラップ撤去
徳之島地区自然保護協

 【徳之島】徳之島地区自然保護協議会(松村博光会長)の連絡会が9日、天城町当部公民館であった。ホウザンツヅラフジ(ツヅラフジ科)など絶滅危惧種植物の保護増殖活動、公共事業関係者への連携申し入れ、林道活用協議など方針を確認。合同自然保護パトロールでは、国立公園指定や世界自然遺産登録への核心的地域(コアゾーン)の森林内に仕掛けられた昆虫トラップを強制撤去した。

 同協議会は2012年9月、徳之島3町「希少野生動植物の保護に関する条例」の制定・施行に併せて、希少野生動植物の保護パトロールや環境問題の啓発活動などを目的に各町5委員を委嘱しているもの。連絡会には関係機関合わせ15人が出席した。

 事務局担当(天城町企画課)によると、絶滅危惧植物の「保護増殖」取り組みの必要性は、国内で徳之島町北部の畑と農道のわずかな法面のみに分布するホウザンツヅラフジ(絶滅危惧IA類・CR)対策が端緒に。草刈り作業中に誤って刈られた切れ端を天城町農業センター施設に保護し、順調に育っていることから、他希少種の保護増殖体制づくりの必要性も提起した。

 同検討・実施に当たっては「元々の自生地を守ることが重要。松枯れの着生ランの保護対策も必要」(環境省)など助言もあった。

 公共工事事業者との連携検討は「公共事業者における徳之島モデル」の構築が目的。「県自然保護課が明確なチェックシートを作成しており県との連携も必要。アドバイザー役を協議会で担えれば」(同省)とも。ゴミのポイ捨てなど不法投棄問題は「意識改革」など啓発が依然として必要で、行政との連携を強化。外来植物対策では「分布マップの作成」や「緊急度を考えてピックアップし計画的にやるべき」など意見も。

 甲虫類の好む果物など網を入れて森林内に吊るす「昆虫トラップ」行為は夏休み中に増えるという。強制撤去はコア地域において県条例や3町条例指定のクワガタムシ類などの無差別な違法採集を防ぐのが狙い。合同パトロールに併せて、果物用のナイロン網に在来種桃の完熟果を入れて吊るしてあったトラップを回収、廃棄した。