伝統の〝白布の舞い〟「むちたぼり」で魅了=15日午後8時すぎ、徳之島町手々
【徳之島】徳之島町手々集落(村山佐ヱ明区長、54世帯・約101人)で15日夜、月遅れの送り盆後恒例の伝統行事「むちたぼり」があった。月明りの下、頭から白布を被った一種独特のいでたちの男性と浴衣姿の女性陣ら踊り連たちが、三味線・太鼓・歌にのせた軽快で幻想的な踊りで家回りを行い、多くの見物客たちも楽しませた。
稲作文化に根差した豊作・予祝祭の意味合いも持つ「ムチタボレ」や「アキムチ」「タネムチ」など同列の秋祭りの一種。かつては旧盆の盆踊りと併催していたが16年前からは帰省者の多い月遅れ盆に移行して伝統を守っている。昨年は天候不良の順延の末に、家回りを初めて中止したが、今年は天候に恵まれた。
午後6時ごろからまず、手々小中学校の児童生徒ら子ども連が家々を訪問し、元気いっぱいに歌・踊りを披露して喜ばせた。訪問先の住民たちからはお餅や菓子などご祝儀が贈られた。
そして各家庭で盆送りを終えた午後8時すぎベテラン唄者らを先頭に、一般の踊り連一行約35人が、祭り主会場の手々小中校庭から家回りに出発。慣例通りに「殿地」跡とされる井上キクエさん(72)宅を皮切りに計6軒を訪問し、幻想的で情熱的な〝白布の舞い〟を披露した。
白布を被って扇子と竹棒を掲げて踊る男性陣は「ジュンサさん」と呼ばれ、「ノロを真似たもの」「身分を隠しあうため」など諸説あるが定かではない。汗ばむ熱帯夜の月明りの下、伝統歌謡「どんどん節」など心弾む軽快なリズムにのせた〝白布の舞い〟は多くの見学者たちを楽しませた。
福岡県太宰府市から家族4人で帰省し、3年ぶり踊り連に加わり汗を流していた介護支援専門員の中島豊和さん(37)は「昔の仲間たちと踊れて絆を確かめ合えるのが素晴らしい。福岡生まれの子どもたちも(子どもの部に)参加しました」と、満足そうに話した。