大浜、サンゴの白化拡大

白化現象が見られた大浜のサンゴ礁群体=提供写真=

台風影響で海水温低下、回復期待
海洋生研調査

奄美海洋生物研究会(興克樹会長)は2日、奄美市名瀬の大浜礁池(リーフの内側)におけるサンゴの白化現象発生の調査結果を発表した。1日の調査時点では全体の8割の群体が白化しており、特に浜に近いほど白化が進行していたという。興会長は「今年の夏は海水温が高い状態が続いていたのが白化の主な原因。今回の台風で波が動くことにより、海水温が下がるので、サンゴにとっては良い状況になるのでは」としている。

大浜礁池では5月末に一斉産卵が確認され、その後は定期的にモニタリングを実施。8月中旬から白化群体が増え始め、9月1日の調査時には全体的に白化が進行。8割の群体が白化し、うち6割は色の薄い軽度の白化、2割は褐色藻が抜け出し純白色になっているとした。

今年の夏は、海水温が例年よりも高く、大浜礁池に設置していた水温計の記録によると、6月下旬から30度を超える日があり、7~8月については、半数以上の期間で30度を超えていたという。

同会では今回の台風12号により、海水温が低下すると見込んでおり、色の薄い程度の白化群体は回復すると予想。一方で、純白色の個体については死滅するかもしれないとしている。

興会長は「特にリーフの内側や海岸に近い浅いところは白化が進んでいる。奄美はぎりぎり酷い白化からは免れたという感じ。それでも大浜では陸上からも白化が確認できるほどだった」と指摘。今回の台風12号については、「奄美では定期的に来る台風の荒波で真夏でも海水温が下げられていた。温暖化によるものでもあると思うが、今年のように台風も来ない、波も穏やかという夏は、水温の変わらない内海などに生息するサンゴにとっては厳しかったかもしれない。せっかく産卵できるまで回復したサンゴだったので、今回の台風はサンゴにとっては良かったのでは」と語った。

同会では台風が抜けた後にも、引き続き調査を予定しているという。