エッセイ集「かたぐるま」を自費出版

エッセイ集「かたぐるま」を出版した廣尾小夜子さん(左)と夫の剛一さん(右)

伊仙町出身の廣尾さん

「子どもや孫にも伝え残したい」
【鹿児島】伊仙町出身で鹿児島市在住の主婦・廣尾小夜子さん(75)が今年3月にエッセイ集「かたぐるま」を自費出版した。「自分の書いたものを子供や孫にも伝え残したかった」と出版に寄せた想いを語った。

「小学生の頃から作文は好きでした」という小夜子さんが新聞の投書欄に投稿するようになったのは、05年1月の岡山旅行がきっかけだった。ホテルの窓を開けると川端康成の「雪国」を連想させるような一面の雪景色に感動して書いた「カーテンの外 小説の世界が」が朝日新聞の「声」欄に掲載された。

以来、日常生活の様々な出来事の中からテーマを探して、500字程度の短いエッセイを書き、新聞に投稿するのが日課になった。「かたぐるま」はこの10年間で朝日新聞や南日本新聞などに掲載された70編が収録されている。
 
「パソコンは苦手なので」文章はいつも手書き。週1回ペースで書いて、投稿にはファクスを使うので「これだけは上手になりました」と笑う。投稿した文章が全て掲載されるわけではないが、朝日新聞に採用されるときは事前に電話連絡があるので「ワクワクするようになりました」。

新聞に掲載されると夫・剛一さんがコピーを取ったり、ファイルしたり、手書きで清書するようになり「なかなかの『女房役』である」と長女・理世子さんが前書きで触れている。表題の「かたぐるま」は、剛一さんが孫の深豊=みゆた=君を小学5年生まで肩車していた話を5年前に書いた際「その姿がとても美しくて、いつか本にするときはタイトルにしようと決めていた」。

長男・亨人さんが題字を書き、表紙絵と挿絵を理世子さんが勤める純心学園のシスター・山頭信子さんが描いた。出版は奄美出身の作家・出水沢藍子さんが代表を務める出版企画「あさんてさーな」が受け持ち、200部を刷った。「お世話になった人や家に来る職人さんにもあげてしまって」今は手元に残っていないが「評判が良ければ」増刷も検討中という。
(政純一郎)