歌姫 城南海


レインボータウンFMでパーソナリティーをこなす城(レインボータウンFM提供)

世界で通用するアーティストに
奄美的な顔、人懐っこい笑顔

城南海が所属するポニーキャニオンのライヴエンタテインメントDiv部長・田所公一は、同社が各地のスカウトの目にかなった〝スターの原石〟を集め、開催した2006年のオーディションで出会った。

「ふわっとした雰囲気の中に、ものすごく強いものを感じた」。城の「童神」が稲妻のごとく心に突き刺さる。事前に音源を聴いて、ある程度予測はできた。だが「何て耳馴染みのいい歌声なんだろう」。田所は、ステージを降りた少女に澄み切った声とのギャップを感じずにはいられなかった。城は、誰よりも輝いていた。

 城が初パーソナリティーを務めるレインボータウンFMの編成局長・木下和則は、何度も生で聞くうちに、ある変化がその身に起きてしまう。「十分うまいはずなのに、彼女と比べてしまう。他のアーティストが下手に聞こえて仕方ない」と苦笑するのだ。ピアノの指導者にも恵まれたように、城の源流には故郷がある。鹿児島市内で郷土料理店を経営する、奄美食文化研究家の久留ひろみもその一人だ。「南海ちゃんがまだ、高校生の時にお母様とお見えになり、人の前で唄う練習をさせてほしい」が、初対面。快く数回のステージを提供した。「音感の取り方がきちんとしていて、絶対音感を持っている。すごくうまいな」。〝涙そうそう〟が印象深いという。

「目鼻立ちがはっきりして、奄美的な顔」(久留)。「誰もが受け入れる、人懐っこい笑顔」(木下)。「周りの者を輝かせるオーラがある」(田所)。辺りを包み込む力を持ち合わせている城。久留の店では、愛情という意味の〝てぃあぶら〟が重要なスープである、郷土料理「鶏飯」が大人気だ。久留は、それこそが、城だとたとえる。郷土愛を一身に吸収して、そして中央へ。飛躍してゆく城の背景には、光差す原生林が見えるようだ。城の性格を「自分をしっかり持っていて芯が強い」と田所が分析、木下も「謙虚さを彼女から学んだ。それは売れた今も変わらない」と感心する。同局は、いとうあさこや、ブレーク前のAKB48も番組を持っていた。一部では、上げ(出世)局ともうわさされている。「城さんに番組を持っていただき本当に良かった。さらに大きな存在になりますよ」と、木下は太鼓判を押す。

「もっと大きなステージに立って、多くの人たちに感動を与えてほしい」。田所が期待する奄美の逸材は、木下との初対面で、宣言するように瞳を輝かせた。「世界で通用するアーティストになりたい」。仰天顔の彼を前に、飛び切りの笑顔で…。(高田賢一・文中敬称略)