龍郷町・アラセツ行事

向かいあう岩に上り、唄を掛け合うノロ役の女性5人

「ショチョガマ」「平瀬マンカイ」 日曜重なり多くの来場者

来年の豊作祈願
「ショチョガマ」「平瀬マンカイ」 日曜重なり多くの来場者

龍郷町の秋名・幾里集落で11日、アラセツ行事「ショチョガマ」と「平瀬マンカイ」が同集落の山と海辺で行われた。400年以上の歴史があるとされる伝統行事を見ようと、朝早くから多くの見物客でにぎわった。

同町によると、行事は水田の広がる同集落に那覇世(13~17世紀)から伝わるもの。山と海から稲霊=いなだま=を招いて五穀豊穣に感謝し、来年の豊作を祈願する古式ゆかしい祭。毎年旧暦8月の初丙=はつひのえ=の日に行われる。

一時途絶えていたが、秋名アラセツ行事保存会(窪田圭喜会長(75)、会員38人)の尽力で復活。1985年、国の重要無形民俗文化財を受けた。

ショチョガマは、集落の田袋を見下ろす山の中腹に建てられた片屋根を指す。高さ約3㍍の本柱に広さ約40平方㍍のわらぶきで作られ、夜明けとともに男衆が揺り倒して豊作を祈る。また1年の間に生まれた男児を乗せ、健康祈願も行われる。

同日午前6時頃、ショチョガマに集落や町内外の参加者など約100人以上が上がり、チヂンと唄で豊作を祈願。日の出の時刻を見計らい、「ユラ、メラ」の掛け声に合わせ、足で左右に屋根を何度も揺さぶり。最後は音を立てて豪快に倒れるショチョガマに、見物客からは大きな歓声が上がった。

10年ぶりに祭事日と日曜日が重なったこともあり、この日は一般やバスツアー客などが日の出前から集落内に詰めかけ。早朝からあいにくの雨模様だったが、多くの来場による盛り上がりに関係者は喜ぶ。

窪田会長は「通例通り南側に倒れたので、来年の豊作は間違いない」と笑顔。今後について集落内外からボランティアを募り、重要行事の継続に取り組む意向だ。

一方、満潮を迎える午後4時頃、秋名湾西岸に位置する「神平瀬=かみひらせ=」と「女童平瀬=めらべひらせ=」と呼ばれる二つの岩の上で豊作を祈る平瀬マンカイがあった。

白装束に身を包んだノロ役の女性5人と男女7人の神人が向かい合って、唄を掛け合い。海のかなたから稲霊を招く儀式を行った。

その後、集落住民らは浜に下りて八月踊り。持ち寄った食事を囲みながら集落行事を楽しんだ。