徳之島町尾母・伝統行事「秋ムチ」

「イッサンボー」と青壮年らの歌踊りが集落中を巡り活気に包まれた=21日夜、徳之島町尾母

招福神「イッサンボー」弾む
青壮年層けん引役 歌踊りで活気

【徳之島】徳之島町尾母集落(池弘区長、113戸・227人)の伝統行事「秋ムチ」が21日夜あった。今年も青年団(芳雅浩団長)を中心に青壮年層が行事継承のけん引役を果たし、〝招福神〟の「イッサンボー」と呼ばれるかかしを高々と掲げ、歌・踊りで集落の目抜き通りを一巡。日ごろ閑静な集落が活気に包まれた。

「むちたぼれ」などと同列の水稲の豊作祈願祭の一つ。果報を呼ぶ〝招福神〟になぞらえた「イッサンボー」を掲げる風習は、伊仙町犬田布・木之香地区と共通。それぞれ稲作が消滅して久しいが、尾母では青年団が「伝統行事で住民の和と活性化を」と奮起して14年前に復活して受け継がれている。

例年通り尾母小中学校横の「溝川=じょうご=神社」境内から、「イッサンボー」とともに昔ながらの松明=たいまつ=を掲げた踊り連が出発した。出身者や住民の知人友人など援軍に、見物客たちも引き連れた一行は約150人に膨れ上がった。

伝統歌謡の「どんどん節」を歌いながら、教職員とUターン世帯のこの1年間の転入者宅など2戸を訪問して祝福の踊りを披露。集落内の主だった「あぜ」(交差路)などでもにぎやかに輪を広げた。集落を一巡後後は同神社に戻って歌・踊りを奉納し、訪問先や道中の住民たちが贈った餅やお菓子などのご祝儀を奉納。縁起物の奉納品を参加者たちに振る舞う「餅投げ」でわかせた。