秋高校野球

【2回戦・大島―松陽】7回を無失点で切り抜けた大島のエース中村=県立鴨池

第2日

大島 コールド発進!
沖永良部、シード樟南に惜敗

【鹿児島】第139回九州地区高校野球大会鹿児島県予選第2日は23日、鹿児島市の県立鴨池、鴨池市民、姶良市の姶良、3球場で2回戦7試合があった。

奄美勢は攻守がかみ合った大島が、7―0で松陽に七回コールド勝ち。沖永良部は、シード樟南に先制しながらも3―5で逆転負けだった。
第3日は24日、3球場で2回戦8試合がある。奄美勢は古仁屋が志学館と対戦する。

「あと一本の差」明暗分ける
沖永良部

【2回戦・沖永良部―樟南】4回表沖永良部一死二三塁、1番・平がスクイズを決め、2―0とリードを広げる=県立鴨池

秋高校野球サイド

 沖永良部は、今春に完封負けした樟南と2季連続初戦での対戦だった。「先輩たちの悔しさを晴らす」(山元隼風主将)意気込みで、押し気味に試合を進めていたが、金星にはあと一歩届かなかった。

 名前負けしそうな名門校が相手でも、堂々と落ち着いて野球ができたのは「先輩たちから受け継いだ伝統」(山元主将)があるからだ。春は樟南と互角の投手戦を繰り広げ、夏はシード鹿児島城西に競り勝った3年生の「DNA」は新チームにも引き継がれていた。

 エース勝間は丁寧な投球を心掛け、守備は堅実に守り、攻撃ではファーストストライクから積極果敢に打っていく。序盤は無失点でしのぎ、先に2点を先取し、一気に畳みかけそうな展開にまでは持ち込むことができた。

 それでも2点差で敗れたのは「ここぞという場面で、あと一本が出たかどうか」(前田直紹監督)の差だった。五回表一死満塁と一気に畳みかける好機を作りながらも、沖永良部は連続三振で生かせなかったのに対して、相手はその裏一死満塁で勝ち越し適時打が野手の間をしぶとく抜けた。そこに指揮官は「伝統校の見えない力」を感じた。

 「まだまだ鍛え方が足りないということ。冬場は吐くまで練習する」と前田監督。何を鍛えればいいかは、この試合の中にヒントがある。「常にピンチを想定して守り、常にチャンスを想定して打撃をすること」を山元主将は具体的な取り組みに挙げていた。
(政純一郎)

積極的にスキ突き快勝 「全員野球」を身上に
大島

【2回戦・大島―松陽】3回裏大島二死二塁、1番・本田が先制の右前適時打を放つ=県立鴨池

秋高校野球ハイライト

大島は守備でも、攻撃でも、積極的に相手のスキを突いて流れを手繰り寄せた。

2点リードで迎えた五回の守備が象徴的だ。先頭打者を一塁手・瀬川海人のエラーで出す。続く投前バントで一塁アウトをとり、瀬川が素早く二塁に転送してオーバーランした一走を刺し、併殺を成立させた。

「普段のボール回しでやっているプレー」と瀬川。日頃から「1イニングで4つのアウトをとる」(瀬川)ことを練習から心掛けているという。例えば一死一二塁のケースでは併殺で終わりではなく、もう一つアウトをとれるところを探して送球し、貪欲にアウトをとりにいく。その姿勢が実戦で役立った。

7得点のうち、4点は二死から挙げている。三回の先制点、六回の2点はいずれも二死無走者から挙げたものだ。六回は5球で二死となった後、5番・瀬川が左翼線二塁打で口火を切り、3連打を浴びせた。「3、4番が簡単にアウトになって、流れを渡したくなかった。粘りの打撃ができた」と瀬川。塗木哲哉監督は「二死をとって相手がホッとしているところを、うまく突くことができた」と評した。

渡―上原のバッテリー、遊撃手・大山ら、昨秋の九州大会を勝ち取った3年生のような絶対的な核になれる力のある選手はいない。その分「全員で何とかする野球」(塗木監督)を新チームは身上に掲げる。その持ち味を随所に発揮して初戦をものにできたことが、何よりの収穫だった。
(政純一郎)

秋高校野球戦評

【評】沖永良部は四回、先頭の6番・山元が右前打で出塁。一死二三塁と好機を広げ、暴投で先制した。更に1番・平がスクイズを決めて2点を先取した。これで勢いをつかみ五回は一死満塁と畳みかける好機を作ったがものにできず。逆にその裏1点差に詰め寄られ、一死満塁から2点適時打を浴びて逆転された。七回に相手のエラーで再び1点差としたが、あと一歩及ばなかった。

【評】大島は三回二死から9番・中村が左翼線二塁打で出塁し、1番・本田の右前適時打で先制した。四回、五回と1点ずつ加点。六回は二死から5番・瀬川が左翼線二塁打、6番・有馬が右越え三塁打、7番・重村が左前適時打と3連打を放ち、2点をダメ押した。エース中村は7安打されながらも要所を締めて得点を許さず、七回裏、2番・米田の中前2点適時打でコールド勝ちを決めた。