秋高校野球

【3回戦・大島―出水商】8回裏一死二三塁、8番・盛山が中前適時打を放ち、4―3と逆転する=鴨池市民

大島 逆転勝ちで4回戦へ
28日古仁屋、鹿工と対戦

【鹿児島】第139回九州地区高校野球大会鹿児島県予選第6日は27日、鹿児島市の県立鴨池、鴨池市民、両球場で3回戦6試合があった。

奄美勢は大島が出水商と対戦し、終盤八回に試合をひっくり返し、4―3で逆転勝ちだった。

第7日は28日、両球場で3回戦6試合がある。奄美勢は古仁屋が鹿児島工と対戦する。

「最後は自分との勝負」

【3回戦・大島―出水商】6回表、ピンチの場面でマウンドに集まる大島ナイン=鴨池市民

土壇場八回で集中
大島

「試合前から声もあまり出ていなくて、雰囲気が良くなかった」。大島の捕手・盛山諒は嫌な予感がしていた。

10人チームの出水商に苦しんだ。二回無死二三塁、三回無死満塁、五回無死満塁…畳みかける好機は何度も作りながら、得点は三回の併殺の間の1点と、四回の8番・盛山の適時打のみ。守備では六回に2つの悪送球が絡んで逆転された。

「腕が縮こまってしまった」。失点のきっかけになる悪送球をした三塁手・太月幸は言う。打撃でも三、五回と好機に力んで打てなかったのを守備でも引きずった。チームの主軸でムードメーカーの不調がチーム全体に伝染し、重苦しい雰囲気が漂いかけた。

七回から塗木哲哉監督は三塁・太月と一塁・瀬川の守備位置を入れ替えた。先頭打者に二塁打を浴び、これ以上失点したら、いよいよ再逆転が厳しくなる雰囲気の中、一塁方向に転がった送りバントの打球を、太月が素早く三塁送球してアウトを取った。

「一塁の守備は長いことやっていなくて不安だったけど、先輩たちがいた頃を思い出してうまく反応できた」と太月。ムードメーカーが立ち直ったことでチーム全体もようやく落ち着いた。

「狙うなら初球か、2ストライク追い込まれてからだ」。終盤、逆転に向けて塗木監督が指示を出す。八回に送り出した打者は全て初球で仕掛けた。「投げている(本田)智揮がきつそうにしていたので、何としても点を取りたかった」盛山が執念で中前に弾き返し、土壇場で試合をひっくり返すことができた。

反省点は多々あり、次に向けての修正点も多いが「八回はしっかり集中できていた」と塗木監督。「最後は自分との勝負。ミスがあってもしっかり自分を見つめ直して立ち直れた」ことを勝因に挙げていた。

(政純一郎)

秋高校野球戦評

【評】大島は三回無死満塁から併殺の間に先制。四回に同点に追いつかれたが、その裏、8番・盛山の中前適時打で勝ち越した。六回にミスが絡んで逆転されたが、終盤八回に一死二三塁の好機を作ると、8番・盛山が中前2点適時打で再び試合をひっくり返した。九回は先頭打者を出したが、後続を絶ち1点差で競り勝った。