奄美全島に非戦の桜植樹を

映画「陽光桜」のチラシ

名瀬出身西元さん 映画鑑賞と共に呼びかけ

【東京】終戦70周年記念映画「陽光桜」の鑑賞と「陽光桜」の奄美全島への植樹を呼びかけているのは奄美市名瀬出身で神田在住の鍼灸師・西元廣子さんだ。

映画「陽光桜」は、戦時中、青年学校の教員をしていた愛媛県東温市生まれで実在する高岡正明の物語だ。高岡は、当時、31歳。持病のため兵役を免れたが、12歳以上の青少年に軍事教練を指導する学校の教員として働いていた。

「日本は神の国やけん、負けるわけがない。サクラの下に帰ってこい」と教え子たちの出征を見送った。しかし、日本は敗戦。戦死した教え子の訃報が次々に届いた。「わしが、教え子たちを死なせた…」と高岡正明は悔やんでも悔やみきれない罪の意識にさいなまれ、教え子たちの鎮魂と、戦争根絶の願いを込めて新品種の桜を作ろうと決意する。

教え子たちは極寒のシベリアから亜熱帯のジャワまで世界各国の戦地で命を散らした。その供養のために、「どんな気候でも花を咲かせる、病気にも強い、まったく新しい桜じゃないといかん」と、私財をなげうって桜の人工交配を繰り返し、約30年かけて新品種の桜「陽光」を誕生させた。

さらにこの「陽光桜」の苗木を全くのボランティアで国内外に送り始めた。「陽光桜を、世界平和のシンボルにするんじゃ」。2001年に亡くなるまで世界中に無償で配布、世界各国で植樹を指導し、その生涯を平和活動にささげた人物の物語だ。(陽光桜=集英社・高橋弦)

西元さんはその志に魅了され、奄美にも各地の戦跡にぜひ、陽光桜を植樹したいと願い、10月末頃から映画「陽光桜」の映画会を奄美各地で始める予定にしている。

「陽光桜」映画鑑賞会の案内や植樹への希望など問い合わせは友野秀樹さんまで電話080・4087・3411まで