奄美群島国立公園

パブリックコメント開始
対象地域、保護計画など示す
来春にも指定へ

環境省は6日、奄美群島国立公園(仮称)の指定、公園計画の決定案などについて、パブリックコメントを開始した。同公園のテーマは「生命にぎわう亜熱帯のシマ ~森と海と島人の暮らし~」。対象区域の指定は4万2294㌶(陸域)で、海域3万3099㌶を含めると有人8島にまたがる。同コメントは11月4日まで公募し、中央環境審議会の答申を踏まえ、国内34カ所目の国立公園として、来年春頃に指定される見込みだ。

奄美群島は2010年度に実施された国立公園総点検事業で、傑出した景観を有する地域として評価を受け、国立公園の指定を行う候補地として選定されていたことから、同公園を指定。また指定に合わせ、既存の奄美群島国定公園の一部地域を国立公園に編入し、国定公園の指定は解除する。

公園区域は奄美大島、徳之島の亜熱帯照葉樹林、砂浜、干潟、海食崖など多様な自然環境を有する海岸、サンゴ礁の生息地となっている海域、隆起段丘、鍾乳洞やカルスト地形など自然景観や人と自然とのかかわりを示す文化景観や集落景観。

地種区分は特別保護地区5229㌶、第1種特別地域9133㌶、第2種同2万5218㌶、第3種同1321㌶、普通地域1393㌶。島別では、奄美大島3万4479㌶、徳之島6071㌶、喜界島975㌶、沖永良部島643㌶、与論島126㌶で、海域は普通海域3万1974㌶、海域公園地区1125㌶(9カ所)となっている。

各島の区域特徴として、奄美大島は湯湾岳やマングローブパーク周辺、徳之島は井之川岳や犬田布岳周辺、喜界島は阿伝集落周辺、沖永良部島は田皆岬周辺、与論島は島北部から東部の海域公園地区が挙げられる。このうち、世界自然遺産登録の候補地としては、奄美大島と徳之島の特別保護地区(奄美大島3805㌶、徳之島1424㌶)、第1種特別地域(奄美大島7739㌶、徳之島1020㌶)の大部分になると想定される。

利用施設計画では奄美市住用町に「住用集団施設地区」を計画するほか、単独施設として各市町村で園地32カ所、野営場6カ所、水泳場、宿舎、博物展示施設各2カ所を整備。また奄美大島と喜界島の道路計11路線、奄美大島、喜界島、徳之島の歩道計6路線の整備を計画している。

同省が示した同公園の計画案について同省奄美野生生物保護センターの鈴木祥之上席自然保護官は、「外来種や盗掘、盗採の問題、利用調整など様々な課題があるなか、世界自然遺産の価値がある自然を守っていくには国立公園指定だけでは不十分だが、世界自然遺産登録要件の一つでもありステップになる」と分析。「国立公園指定は多くの住民にとって関係すること。指定によって守られる自然や文化に注目していただき、意見を寄せてほしい」と話した。

今後は11月4日まで計画案に対する意見を公募し、12月に意見をまとめ公表。来年1月に同審議会に諮問・答申を行い、来春にも官報告示(指定)される予定。

同公園の決定案や概要は、同省ホームページに掲載するほか、11日から奄美群島12市町村(奄美市は笠利、住用総合支所も含む)役場窓口で閲覧可能。意見は郵送、FAX、メールで行うこと。提出先はFAX03―3595―1716、〒100―8975 東京都千代田区霞が関1―2―2、メールshizen-kouen@env.go.jpまで。