希少種「エンマノホネガイ」

生貝展示されている、珍しい「エンマノホネガイ」

希少貝を見つめる来場者

国内水族館では初展示
大島海峡で採集 海洋展示館飼育

奄美市名瀬小宿の奄美海洋展示館では、奄美大島と加計呂麻島を隔てた大島海峡の海底で採集した「エンマノホネガイ」=アクキガイ科=が飼育展示されている。国内では奄美大島のみ分布が確認され、希少性が高いことで知られるホネガイの一種。採集した鹿児島大学国際島嶼教育研究センター奄美分室の藤井琢磨特任助教は「国内の水族館施設での生貝展示は初めて。施設側と連携して生態研究を進めたい」と話している。

藤井助教と同大学・上野大輔助教が同海峡で海洋生物多様性に関する調査中、2個体を採集。海底40~50㍍の砂泥域に生息していた。

体に細く伸びたトゲの列があり、さらに殻上部にはひときわ長く、曲線上のトゲが同種最大の特長。肉食で飼育時のエサはアサリのむき身など。個体のトゲを含めた体長は、約15㌢と約18㌢。小さい個体が若いという。

藤井助教によると、同ホネガイは主にオーストラリア北部からフィリピンにかけて分布するが、2005年、奄美大島近海で採集され、国内唯一の分布域となった。世界的にも報告数は多くない希種のため、同館の協力を得ながら生態調査を行う予定だ。

藤井助教は「奄美の自然の中に希少生物の豊富さが示された」として、今後の研究に期待感を表している。

10日、同館を訪れた江藤弥生さん(38)は息子の悠平くん(1)と貝を観察。動く貝に興味深く見つめながら江藤さんは「奄美は海がきれいなので、珍しい生物が多いのでは」などと話した。

ホネガイは同展示館の個水槽コーナーで展示。問い合わせはTEL0997―55―6000(同館)まで。