佐藤寛子さん
(さとう・ひろこ)神奈川県出身。2002年に映画「スケアー」でヒロインとして主演。その後も俳優業、グラビアなどで活躍。10年公開映画「ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う」で第32回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞受賞。ほか映画・ドラマなど出演多数。龍郷町在住。31歳。 |
女優・タレントとして映画、テレビなどでも活躍する佐藤寛子さんが今年5月から奄美大島へ移住。テレビ出演などの仕事、そして1歳5カ月の子を育てるシングルマザーとして奄美を拠点に活動している。なぜ移住したのか、島での暮らし・子育ての様子は。奄美への思いは。離島へのIターンを決断した女優・佐藤さんにインタビューした。
なぜ奄美に移住を。
昨年9月に妹の誕生日で、行きたい場所を尋ねたら「奄美大島」というので3泊4日の日程で、妹と息子と3人で初めて来島したのがきっかけ。グラビアなど仕事でこれまでにもいろんな場所で海を見ましたが、その中でも特に印象的で、きれいな海と感じました。
「もうちょっと過ごしたい」と今度は昨年11月に2週間滞在し、そして次に来た時にはもう住む家を探していました。
では直感で決断したということですか。
そうですね。「なんで」とよく聞かれますが、気候がいいとか、人が温かいとか、理由はいろいろあるけれど、「何となく惹かれた」というのが本音です。
女優、タレントとして仕事していく上で、島への移住に不安はなかったですか。
実家が神奈川で、そこから(東京まで)仕事に通っている時も2時間ぐらいかかっていました。それを考えたら、(奄美も)そんなに変わらないのかなと思って。ただ実際に来てみると台風だったり、シーズンによっては飛行機の運賃が上がったりと、自分が行くのも、向うから(撮影など)来てもらうのも、大変と思う面もあります。
でも「なるようになる」と身を任せて、ここまでは意外と上手くいっているかな。
移住は大きな決断だったと思いますが、思い切りのいい性格?
どうでしょう。私はあまり大きな決断と思っていなくて。ただ子どもを産んでから自分が強くなったと思うことはあります。あとは島に来て「どこに行ってもやっていけるんだ」という自信もつきました。
実際に住んでみて奄美大島の印象は。
移住して半年ぐらいですが、すごく人間関係が密だなと。知り合う人と知り合う人がつながっている。私はこれまで仕事以外のプライベートで他の人とコミュニケーションをとることは決して多くなかった。東京に住んでいる時は当然ながら隣に誰が住んでいるか分からなかった。気が楽と言えばそうかもしれないが、今は周りのみなさんを知っていて、知られている。大変な面もあるけれど安心感もある。未婚で男手のない中で子育てしていて、周りが見守って下さっていることも伝わってきます。何かあったら近くの人に頼れるというのは何物にも代えがたいです。
役場も昔は恐いイメージを持っていたけれど、龍郷町役場は「親戚か」と思うぐらい親身に対応してくれます。
それから奄美は予想していた以上に〝大自然〟。時期によって家の中に出てくる虫も変わってきますよね(笑)。最近、少しは慣れてきましたが…。
島暮らしを通じて、感じることなどは。
ここに来る前まで自分が好きだと思っていたものが、実はそんなに好きじゃなかったと気づいたり、必要と思っていたものもそうじゃなかったり。たくさん物があふれていると何がほしいかわからなくなるけれど、物が少ないと本当にほしいものが分かるというか。家の中がとてもすっきりしていて、今は部屋も自分の心にもスペースがある。だから新しいものも取り入れられる。そんな感じです。
島での子育ては。
本当に伸び伸びと育ってくれて、子どもがうらやましいぐらい。
例えば特産品PRなど島での仕事なども機会があればやりたいと思いますか。大島紬も似合いそうですね。
もちろん機会をいただければ、いろいろ挑戦したいです。大島紬もとても興味があってぜひ着てみたい。
(聞き手・牧一郎)