「奇跡の島に自信を」

グレン博士と星野氏を迎えてあった教育講演会=17日、樟南二高で

野生動物生態学者・グレン博士
樟南二高で講演 ニュージーランドの事例紹介

 【徳之島】外来種対策など野生動物生態学者で、ニュージーランド保全管理研究所のアル・グレン博士(48)らの教育講演会が17日、樟南第二高校の普通科44人を対象に同校であった。「ニュージーランドにおける自然保護の取り組み~侵略的な外来生物の管理~」をテーマに同国の事例を紹介。世界自然遺産価値の「奇跡の島への自信」を持った取り組みを促した。

グレン博士は昨年12月「奄美国際ノネコ・シンポジウム」で初来日、今回は日本学術振興会助成の調査研究での再来訪に。元環境省自然環境局長で鹿児島大学特任教授の星野一昭氏が同行協力しており、奄美大島を中心に約3週間滞在予定。教育講演会は2日前からの徳之島フィールドワークを機に、高校生らが本場の英語にふれつつ日本との自然保護の違いの学習を―と計画。通訳も星野氏が協力した。

博士は英国からの移民社会におけるネコなど侵略的動物の環境面や、社会・経済面への影響、約100年前にさかのぼるというニュージーランドのノネコ対策の歴史なども紹介。

成功事例では1980年代に外来種を全て駆除し、元来生息していた動物を保護区に再移入したこと。未来への取り組みでは2050年までの「捕食動物のいないニュージーランド」を目指し、広大な保護区以外の住宅地域にも駆除対象を拡大していく政策。また各家庭におけるネコ飼養匹数の制限(保護区近隣は禁止)条例も検討中であることなど概要を解説した。

質疑タイムで、生徒たちからは「(保護区)フェンス設置の悪影響はないか」「どうしてこの仕事を」「外来種の駆除に抵抗はないか?」など質問も。グレン博士は「フェンスは元々いる動物の移動に影響がでるが、鳥類には無関係」「外来種を駆除しないと、より多くの在来種が殺されてしまう」と強調。

星野氏も「徳之島の人々が暮らしながら世界自然遺産登録価値の、1千万年前からの自然が残ったことはすごいこと。奇跡の島に自信を持ち、世界人類の宝をみんなで守っていかなければならない」と呼びかけた。

19日午後は大島高校でも計画している。