地元市場での価格が急上昇しているキュウリ(小売店で)

地元市場での価格が急上昇しているキュウリ(小売店で)

キュウリは急上昇
キロ単価6倍、欠品状態店も

相次ぐ台風や前線による全国的な天候不順は農作物の生育に深刻な影響を与えている。地元市場の野菜の取扱量は、夏~秋にかけては地場産よりも移入品(島外からの)の割合が多い中、量が少ないため価格が高騰、なかでもキュウリは急上昇、前年平均の6倍の異常な高値となっている。青果物を扱う小売店のなかには赤字覚悟での販売や品ぞろえができず欠品状態のところもある。

地元市場・名瀬中央青果㈱(福山治社長)によると、入荷する野菜のうち地場産の品目はネギやニラ、オクラなど。夏場の中心だったニガウリは現在量が少なくなり、これからはマコモやサトイモ等が増えてくる。

野菜の地場産と移入品の割合は4対6~3対7で、移入品の方が多い。島外産に頼る傾向にある中、価格は先週末から今週にかけて急上昇。キュウリの場合、昨年10月のキロ当たり平均単価は318円だったが、17日の市況では1800円となった。市場では箱入りで取り扱われるが、5㌔箱で約1万円の値となり、同青果の担当者は「これほどまでの高値は記憶にない」と語る。

入荷しているのは宮崎や熊本産など。相場の上下はあるものの、市場でこの価格のため小売店で消費者が手にするキュウリの値段は1本で約180円から200円超も。通常の販売価格は2~3本で180円程度という。

葉物も高い。キャベツの場合、昨年10月の平均単価(キロ当たり)204円に対し、340円(17日市況)。コマツナは同456円が860円(同)、ホウレンソウ同694円が1330円(同)。昨年10月の平均単価が254円だったレタスは700円台まで上昇したが、現在は落ち着いており、17日市況も340円だった。それでも「サラダなどとして日常的に使用される野菜の主要品目は、ほとんどが高値となっている」(中央青果)。

北海道が台風被害を受けた関係で高騰したバレイショなど根物の方は、現在は落ち着いており、タマネギは逆に安値に。国産の減少により中国産などの輸入品が出回り、量が増えたのも影響している。

地元市場が現在取り扱っている移入野菜の産地は九州産が主流。量が少なく価格が上昇しているのは、9月の九州の天候が記録的に降雨量が多く、日照量が少なかった関係で生育不足に陥ったとみられている。一方、奄美では高温が続いている。現在高値のキャベツは例年11月後半から地場産も入荷し量が増えるが、今年は高温の影響で苗の植え付け時期がずれ込んでおり、量が少ない高値傾向は今後も続きそうだ。

地元市場から野菜類を仕入れているのは地元の青果店や地場スーパーなど。消費者への販売に当たってはキャベツなどカット売りで購入しやすい値段にしているほか、赤字覚悟で通常の小売値で販売しているところも。小規模店のなかにはキュウリでみられるような急激な価格上昇に対応できず、店頭に商品を並べることができない欠品状態のところもある。

なお、九州農政局は福岡市中央卸売市場を対象にした入荷見通しを発表している。10月の主要野菜(16品目)は「九州産のほか北海道産、群馬産、長野産等の入荷となる。一部流通の乱れが懸念されるが、平年並みの生育が見込まれることから、総じて入荷量は前年並みと見込まれる」としている。