核心地域の集中抑制へ

再整備に向けた検討が始まった龍郷町の奄美自然観察の森

コンセプト「ふれあいの場」
自然観察の森再整備

龍郷町の「奄美自然観察の森」再整備基本計画の第1回検討会(座長・長田啓県自然保護課長)が20日、同町役場であった。同地の利用現状や再整備における基本的な考え方などを報告。今後2回の会合を開いて基本計画を策定し、2017年度から最大5カ年度で同地の整備を進め、世界自然遺産登録候補地の核心地域への利用者の集中を抑制するとともに、奄美の自然の満足度向上を目指す方針だ。

同地は空港や市街地からのアクセスが良好で、利用者が気軽かつ安全に散策や動植物を観察できる条件が整う。また今月環境省が発表した「奄美群島国立公園(仮称)」指定案では、第2種特別地域に区分され、利用者の安全性と快適性、満足度を保ちつつ核心部への過剰な入り込みを防ぐ〝奄美の森の入門編〟として最適な場所にある。

一方、1988年に整備が始まった同地は、95年に現在の形となって以降20数年が経過して施設が老朽化。一部が使用禁止になり、安全性に欠けることなどから、県が2015年度に策定した奄美群島持続的観光マスタープランを踏まえて策定した施設整備基本構想に基づき、県や同町などが連携して同地の再整備の検討を開始した。

会合では事務局が整備方針のイメージを説明。テーマは「顕著で普遍的な自然の価値を維持・向上させ、質の高い自然体験フィールドを創出する」、整備目標は「イモーレ、世界自然遺産の島の森へ」を掲げた。

コンセプトとして自然とのふれあいの場の整備を上げ、「森の広場」を活動拠点とした環境学習の場、自然を体験するショートコース、ロングコースの設定を構想。タブレットやスマートフォンなど携帯端末を活用し、動植物の情報を提供するIoTの実用化を提案した。

同地は気軽に訪れることができる希少動植物の生息エリアに加え、野鳥の観察ポイントにもあたることから、委員からは利用者の目的に応じたゾーニング設定や動線計画の要望が相次いだ。そのほか、管理棟「森の館」の役割、施設の長寿命化を踏まえた材質の選定などに対する意見があった。

第2回会合は12月中旬頃に開催し、現地説明のほか施設や管理体制などの基本計画案が示される予定。