専門家招き世界自然遺産講座

世界自然遺産登録後の奄美について検討した学習会

島の魅力住民把握を
課題や期待討論「目的は自然守ること」

奄美の世界自然遺産講座(NPO法人アマミーナ主催)が23日、奄美市名瀬の奄美博物館であった。同講座の一環で「世界自然遺産登録後の奄美を考える学習会」があり、住民など40人が参加。奄美の自然について学ぶとともに、ワークショップで登録後の期待や課題を討論。住民自身が島の魅力などの理解を深める重要性について学んだ。

勉強会には環境省奄美野生生物保護センターの鈴木祥之さん、同市教委の高梨修さん、写真家の常田守さんがアドバイザーとして参加。受講生らは登録後の期待や課題について、ワークショップ形式で討議し、「観光客が増える」「自然が守られる」などの期待がある一方、「自然の維持にかかる費用負担は」「ゴミが増える」「治安が悪くなる」などを懸念する意見を発表した。

鈴木さんは「地元の人がガイドを受け奄美の自然の奥深さを知り、体験することが大事」と分析。遺産登録による観光客への対応として、▽来島者への対応▽リピーター対策▽島のファンを増やすこと―などを提言し、「自然を守るためには入山規制などの議論も必要。自然と観光利用のバランスが求められる」と指摘した。

常田さんは遺産登録の意義について「目的は自然を守ることであり、観光はその結果」と強調。利用戦略の策定に向け、地元住民による島の魅力の把握、情報発信の重要性を訴えた。高梨さんは世界文化遺産がある岩手県平泉町の取り組みを紹介し、「奄美に入った時から観光は始まる。自然だけではなく食や文化などに対し、いかに付加価値をつけて来島者へ提供できるかが地元の役割」と訴えた。

2度目のワークショップでは、課題解決の取り組みなどを協議。「外国版表記への対応」「詳しい案内板の設置」「幼少期からの教育」「観光の一元化」などの充実について意見があった。